NSAIDSとアセトアミノフェンの違い、アセトアミノフェンは空腹時OK?
「アセトアミノフェン」を使うも空腹時は避けるべき?
NSAIDsには胃を荒らす作用があるため、薬剤師は服薬指導の際には「空腹時の服用を避ける」ように注意喚起するのが一般的です。一方、“胃にやさしい”とされている「アセトアミノフェン」であれば、この服薬指導は不要でしょうか。「アセトアミノフェン」の安全性と、「アセトアミノフェン」が処方される患者さんの背景を意識して、服薬指導のポイントをおさらいしておきましょう。
■参考になる論文
Br J Clin Pharmacol . 2002 Sep;54(3):320-6.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12236853/
(概要)
上部消化管出血は、「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」、「ジクロフェナク」といった各種解熱鎮痛薬の使用と関連しているのか、そのリスクは投与量や投与期間によって異なるのか、を検証したメタ解析(3件の後ろ向き研究)。
(結果)
- NSAIDs:上部消化管出血のリスクは、用量依存的に大きくなりそう
- アセトアミノフェン:上部消化管出血リスクは、薬の投与量にかかわらず一定で変わらない
☞アップデートの要所
- NSAIDsは、投与量が増えれば増えるほど消化管出血がよく起こりそう=胃を荒らす作用がありそう
- アセトアミノフェンは、投与量が変わっても消化管出血の頻度は変わらなそう=胃を荒らす作用は少なそう
薬剤師の服薬指導アップデートのポイント①~アセトアミノフェンに、胃を荒らす作用はほとんど無さそう
NSAIDsが胃を荒らしやすいのは、胃という酸性条件下でイオン化して胃粘膜細胞を直接傷害することと、胃粘膜を保護する「プロスタグランジン」の産生を抑制する作用があることが主な理由です。そのため、こうした作用を持たない、あるいは作用があっても非常に弱い「アセトアミノフェン」であればあまり胃にも負担をかけない、というのが一般的な認識です。実際、「アセトアミノフェン」はNSAIDsに比べると消化管出血の副作用は少なめ1)であることも確認されています。
しかし、NSAIDsに比べると“相対的に消化管出血は少ない”ことはわかっても、「アセトアミノフェン」そのものにどのくらいのリスクがあるのかがわからないと、「アセトアミノフェン」の服薬指導を考えることができません。そこで参考になるのが、今回の研究内容です。