ワルファリン「錠剤(粉砕)」を「細粒」に変更したときの影響は?


「錠剤」の“粉砕”調剤は手間がかかる上に、保管が難しくなる、作業工程で薬をロスするといったデメリットも伴うことから、できるだけ既存の細粒剤などを活用するのが望ましいです。ですが、いざ細粒剤に変更するとなったとき、“同じ量”であれば、特に何も注意はしなくて良いのでしょうか?今回は、そんな“粉砕”と剤型変更にまつわる論文を紹介します。
■参考になる論文

ワルファリン錠を「粉砕」から剤型変更する場合と粉砕継続の場合のPT-INRの変動幅について比較図(筆者作成)
(概要)
ワルファリン錠を“粉砕”で服用し、PT-INRが安定している外来患者を「細粒剤へ変更」した場合と、「“粉砕”を継続」した場合の2グループに分け、42日間のPT-INRの変動幅を比較した研究。
(結果)
・PT-INRの変動幅に統計学的な有意差は観察されなかったが、「細粒剤へ変更」したグループではやや“上昇傾向”にあった。
☞アップデートの要所
- 錠剤の“粉砕”から細粒剤へ変更しても、PT-INRが急激に変動するようなことはなさそう
- ただし、これまでの粉砕手技や用量によっては、細粒への変更でPT-INRは上昇する可能性もありそう
錠剤を“粉砕”する調剤行為のデメリット
内服薬には錠剤・カプセル剤・液剤・散剤などさまざまなタイプのものがあり、個々の患者さんの状況に応じて適した剤型を選べるようになっています。しかし、中には「錠剤」しか規格が存在しない、といった薬もあります。そのため、錠剤のままでは薬を服用できない患者さんの場合には、錠剤を砕いて粉状にして調剤することがあります。
ただし、この粉砕調剤にはいくつか注意しなければならない点があります。