ステロイド吸入後の「うがい」、できない患者さんはどう対応する?
吸入ステロイドは、気管支喘息の治療の中心を担う薬です。
喘息のコントロールを目的に、比較的長期的に使い続けることもある薬ですが、この薬の代表的な副作用である「口腔カンジダ」や「嗄声(声がかすれること)」を防ぐには、吸入後に口をすすぎ、うがいをすることが重要です。
しかし、この「うがい」は面倒だったり、あるいは小児や高齢者では適切に実施できないなど、継続できないケースもあります。
そんなとき、薬剤師は「うがい」を頑張るように声をかけ続けるしかできないのでしょうか。
今回は、そんな「うがい」ができない場合の次善策を考える上で参考になる論文を紹介します。
参考になる論文
Tuberc Respir Dis (Seoul) . 2012 Aug;73(2):93-9.
ステロイド吸入後すぐに食事をとらせた場合の有害事象の改善実験解説図/筆者作成
(概要)
吸入ステロイドを初めて使う98人のうち18人(18.4%)は、「うがい」の方法を指導していたにもかかわらず、口腔カンジダや嗄声といった局所の有害事象が発生した。この有害事象が発生した人たちを対象に、「うがい」の代わりに“吸入後すぐ(5分以内)に食事を摂る”方法を提案した。
(結果)
口腔カンジダや嗄声といった有害事象が起きた18人に、“吸入後すぐに食事をする”方法を実施すると、14人(77.8%)で症状が改善した
- 吸入ステロイドによる局所の有害事象は、「吸入後すぐに食事を摂る」ことでも軽減できる可能性がある。
ステロイドを吸入したあとの「うがい」は、副作用回避に重要
吸入ステロイド(ICS)は、気管支喘息の治療において重要な薬ですが、口腔カンジダ、咽頭炎、発声障害などの局所的な副作用をしばしば起こします。
この局所の副作用そのものが重大な事態を引き起こすことはほとんどありません1)が、服薬アドヒアランスに影響を与え、喘息コントロールを悪化させることはよくあります。
こうした口腔の副作用を防ぐために、ステロイド吸入した後に口をすすぐ「うがい」をし、口腔内に付着した薬剤を洗い流す2)、という対策が広く行われています。
しかし、こうした「うがい」は面倒なため、きちんと行われなかったり、そもそも実施されないままになってしまったりすることもよくあります。
このとき、薬剤師として「うがい」をするように改めて声掛けをすることは重要ですが、特に小さな子どもや高齢者では、「うがい」そのものが大変であるケースも珍しくありません。
そんな「うがい」の実施が難しい場合の“次善策”になるのが、今回紹介している論文で行われている“吸入後すぐに食事を摂る”という方法です。飲食というアクションによっても、口腔内に付着した薬剤は除去できるからです。
実際に今回の論文では、この“吸入後すぐに食事を摂る”という方法で、口腔カンジダや嗄声といった有害事象の7割が解消しているため、試してみる価値はあると考えられます。
「ステロイドを飲み込む」ことによる影響は…?
このとき気になるのが、「うがい」で口をすすぐのと違って、「飲食」では口腔内に付着した薬は食事と一緒に飲み込むことになる、という点です。
局所の副作用リスクを軽減するために、“ステロイドによる全身性の副作用”のリスクが高まってしまっては本末転倒な面もあるからです。