なぜ病院薬剤師が主役?アンサングシンデレラ漫画家&薬剤師インタビュー

(C)荒井ママレ/コアミックス
7月16日(木)夜10時より全国フジテレビ系にて放送がスタートする病院薬剤師が主役の医療ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』。今回、m3.comは同ドラマ原作の人気漫画『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』(コアミックス)を手掛ける漫画家の荒井ママレさん、医療原案を担当する富野浩充さんに独占インタビュー。現役薬剤師が熱視線を送る人気漫画に秘められた思いとは…?漫画に込められた“ここだけのエピソード”も合わせてお届けします。(最新情報は番組の公式ホームページ でご確認ください)
薬剤師は“チーム医療に欠かせない”存在。お仕事漫画としても魅力
まずは荒井さん、病院薬剤師をテーマにした漫画を描こうと思ったきっかけを教えてください。
荒井ママレさん(以下 荒井)
じつは、発案は編集者の方で「病院薬剤師をテーマに描いてみないか?」とお話をいただいたことがきっかけです。それまで病院薬剤師はもちろん、薬剤師の仕事自体、まったく知識が無かったので初めは躊躇していたのですが…いろいろお話を聞いているうちに、チーム医療に欠かせない存在であることが分かって興味がわいてきたんです。
ひとりの人間が仕事にひたむきに向き合う「お仕事もの」として考えても魅力がありますよね。しかも、これまでほとんど描かれてこなかった職業、可能性を感じて一度トライしてみようと決めました。

1巻4.5p
(C)荒井ママレ/コアミックス
どのエピソードにも非常にリアリティがありますが、薬剤師を主人公にするにあたり、苦労したことはありますか?
荒井
まったくの門外漢だったので、仕事のルールや行動のひとつひとつが、分からないことだらけでした。そのあたりは、医療原案の富野さんや、取材協力いただいている薬剤部・薬剤師さんに教えていただきながら乗り越えています。
ただ、情報の正しさばかりに囚われると「職業紹介漫画」になってしまうので、エンタテイメント作品として面白いかどうか、のバランスは常に気にしていますし、今もずっと苦労しております…。

1巻59p
(C)荒井ママレ/コアミックス
医療原案を担当されている富野さんは、現在も病院薬剤師として働いてらっしゃるそうですが、漫画のエピソードは実話をもとにしているのでしょうか?
富野浩充さん(以下.富野)
実際に自分があたった症例に着想を得ているものもありますし、(論文などから)ストーリーとして成立しそうな症例を探してアイディアを膨らませることもあります。すべてが実話というわけではありません。
荒井先生のお話にもありましたが、やはり、現実とエンタテイメントは違いますから、症例に対して治療がくどくなりすぎないように、調整する部分など編集さんと相談しながら進めています。たとえば医師とのやり取りひとつにしても、実際には別の選択肢を提示するなど食い下がる場面も、漫画では全体とのバランスを見てさらっとスルーするなどですね。
確かに、漫画では、薬剤師が疑義照会等で医師や患者さんから否定されてしまうリアルなシーンも多く描かれていますよね。富野先生はこうした苦い経験をどのように乗り越えましたか。
富野
これは難しいですよね。
時間をかけて風化させるか「どこかで創作のネタにしようか」と考えるくらいです。

1巻13p
(C)荒井ママレ/コアミックス
患者さんに認識されず…「薬剤師あるある」に共感!
苦い経験も創作のネタに…ということでしたが、富野先生がこれまでのストーリーでもっとも共感したエピソードにつ…