90%の薬剤師が見た!ドラマ『アンサング・シンデレラ』の感想は?
石原さとみさん主演の薬剤師ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は日本の連続ドラマ史上初の、病院薬剤師が主人公の医療ドラマとして話題になりました。
これまでも医療ドラマは数多くありましたが、主人公として華々しく描かれてきたのは医師や看護師だけ。薬剤師が主人公としてフォーカスされため、多くの薬剤師の方が注目していたのではないでしょうか。
実際、m3.comの薬剤師会員へ、ドラマ『アンサング・シンデレラ』をご覧になりましたか?と聞いたところ、64%の薬剤師が「全話見ている」と回答を寄せました。「数話を見ている」の26%と合わせると、なんと90%の薬剤師がドラマを観たことになります。
またドラマをご覧になった先生へ、感想をお聞きしたところ、本当にたくさんの感想が寄せられました。“アンサング”とは「褒められない」という意味ですが、医師のように頼られず、看護師のように親しまれなくても、“縁の下の力持ち(=アンサングヒーロー)”として日々、患者のために奮闘する薬剤師の先生方の声を是非、ご覧ください。
Q: ドラマ「アンサング・シンデレラ」をご覧になりましたか?
Q: (ドラマをご覧になった方)ドラマを見た感想を自由に記入してください
描かれた人物像に共感
- 理想と現実の狭間で悩める薬剤師が描かれていて「わかる〜」の連発です。
- 患者に寄り添い、患者の気持ちを理解しようと懸命に業務に励んでいる主人公に共感しました。自分自身も病棟での臨床業務の中で似た経験もありますので、主人公のような理想に燃える薬剤師が増えることを期待しています。
- オーバーな演出も確かにありますが、薬剤師、医療人が向き合うのは、「人」だと改めて思いました。これをきっかけに、薬剤師の仕事の認知度が上がればよいと思います。
- 薬剤師が主演のドラマとして評価したい。誇張しすぎている場面はあるが、そこはドラマ。シナリオ、絵作りだから当然です。 それよりも、個々の人物像がきめ細かに描かれている所が良い。苦しみに寄り添う、薬剤師になった経緯、薬剤師も人で病気にもなる。こうした人の営みを感じさせる珍しいドラマだ。
YouTubeの「葵みどりのお薬講座」
- 薬剤部の中や病棟での内容など現場と少し違うと思う部分もあるが、おおむねよく表しているし、感情移入できるように作られているので次回作を期待してしまいます。ドラマ撮影ができないときに石原さとみさんが葵みどりとしてYouTubeにupされたお薬の説明もよくできていると思い、病棟の看護師にオススメしました。
キャスト・スタッフに感謝
- 医療のTVドラマとしては薬剤師の立場から見て良くできていると感じている。昔の医療ドラマは、大げさだったり、過剰表現が多かったが、ドラマとして成立させ、現場の状況(現実との乖離はしかたない)が雰囲気として伝わってくるのはすごいと思う。医療職としては、ありふれたエピソードだとしても感動的に仕上げているのが凄い。
- ドラマとしてよくできていると思います。とても楽しんでいます。原作には無かった、奨学金の問題を描いていたのはよかったです。物語上では、薬剤師の抱えている問題(業務の幅の多さ等)を、7話で登場した政治家が的確に指摘していますが、世間にはいまいち伝わっておらず残念です。しかしながら、自分の職業がドラマになり、視聴者として楽しめているのは貴重な体験であり、ドラマのキャストやスタッフには感謝しかありません。
薬剤師の認知度が上がることに期待
- 薬剤師にあんなにも権限があったら、やりがいをもって仕事ができそう。業務内容や言い回しにグレーゾーンなところがあり、誤解もされそうだが、一般の人に分かりやすく伝えるのが目的ならありかもしれない。これから、もっと病院薬剤師の仕事を取りあげたドラマが世の中に出ていき、病院薬剤師の仕事に関する認知度が上がることを期待する。
- ドラマであり誇張された部分もあるが、まさに今、薬剤師が問われている部分を表しているとも思えるので、薬剤師業務が視聴者に少しでも理解されるようになれば良いと思って見ている。薬剤師主役の医療ドラマがあっても良いではないですか。
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期待していたより、現実離れしている部分が多くて少し残念です。
患者の情報管理(患者のSNSをチェックする・外部で患者名を出して大声で話をする・勝手に患者や家族に色々伝えるなど)、他職種や患者への態度など、ドラマならではの脚色だとは思いますが、これが病院薬剤師だと思われたら少し困るなと思う部分が多々ありました。
それでも、「病院で薬剤師って何してる?」と良く聞かれるほど一般に知られていないこの仕事に焦点をあてて描いてくださったのは、とても意義があることだなと思います。 -
ドラマとして誇張されている部分等はあるが、薬剤師の働きを社会に周知する、という点では評価できる。ドラマということを理解せずに、現実的じゃない等の持論を展開する方が多いことは、他の医療ドラマ同様であるがやや残念な感はある。
ドラマを見て、もう少し頑張ってくれる薬剤師が増えたら、なお嬉しいし、薬剤師を目指す若者が増えたらとても素晴らしい。 -
現実ではあまり遭遇しないエピソードもある。薬剤師はそこまでは踏み込めないし、医師の領域に踏み込んでいるかなと不安にもなる。
しかし、医師や看護師のドラマでも似たようなことをドラマ化しているので、薬剤師の仕事を理解してもらうには仕方がないと思う。薬剤師は薬を渡すだけの仕事と見られている現状では、まず薬剤師の仕事の分野を理解してもらい、薬学の大切さ、必要性を知ってもらうには良い機会だと思う。 - 現実離れしているところもあるが、病院薬剤師がどのようなことをしているか知ってもらえるところもあるので、ドラマになってよかったと思っている。自分の子供が興味を持ってみてくれていることがうれしい。
前面に出過ぎる薬剤師に違和感も?
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面白いし、配役もいいけど薬剤師が必要っていうのを前面に出しすぎてるところは嫌です。
「だから薬剤師って必要なんだよね」っていうアピールはもっと少なくて良かったと思う。
もっとチーム医療を描いてほしかった
- 主人公の単独行動が目立つ描写で、普段力を入れているチーム医療が描かれていないのが残念でした。主人公のような単独行動をする薬剤師より、他職種と連携して患者さんの力になれる薬剤師の存在を患者さんに知ってもらいたかった。
ドラマの翌日はモチベーションアップ!
- 患者を中心にしてそこに医療関係者(ここでは主に薬剤師)が関わっていく内容になっていて好きです。ドラマだから誇張表現もありますが、特に気になる事もありません。ドラマの翌日の仕事のモチベーションアップに繋がっています。「薬剤師だから○○は出来ない」と決めつけずに目の前の患者さんに対して「薬剤師でも出来るところ」から始めていきましょう!
薬剤師がもつコンプレックス
- 病院薬剤師に限らず、薬剤師が持っている医師に対するコンプレックスのようなものが描き出されていることに驚きました。薬剤師はそう思っていてもあまり口には出しません。医師は常にオ-ルマイティ-だと思っていますから。最近は薬学部が6年制教育になり、昔の対物志向の教育ではなくなってきました。またこれからの若い医師の意識も変わってきていると思うので、充実したチ-ム医療が出来るようになるものと期待をしております。
- 現場の薬剤師が普段言いにくいことを結構はっきりと表現していると思う。医師に対して挑発的と思われるセリフもあったが、まあいいんじゃないでしょうか。自分も以前に病院薬剤師をしていた時に、医師に対して同じようなことを感じたことが多かったので、このドラマを通して薬剤師の仕事に対する理解が深まってくれることを願っています。それにしても、石原さとみさんが主人公というのは素晴らしい人選だと思います。最高!
理想の薬剤師をめざして
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夢が上手く描かれています。
少しワクワクしますね。
こんな日常が実現できるよう、頑張りたい。
Q: (ドラマをご覧になった方)印象的だったなぁというトピックスを選択してください
ドラマ『アンサング・シンデレラ』全11話のなかで、印象的だったシーンについて聞きました。「疑義照会など医師とのやりとり」と「病院薬剤師、薬局薬剤師のやりとり」が同率の39%という結果に。先生は、どのシーンが印象に残っていますか?
Q: 「その他」を選んだ方、具体的に印象的だったトピックスを教えてください
薬の飲ませ方の工夫
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飲ませ方に対する質問は良くある。大人でも味が合わない人も多い。
薬効を損ねない工夫は薬剤師が率先して介入していくべき問題だと思うから。
患者さんへの態度
- 刈谷さんが患者さんに毅然とした態度で指導するシーン。患者さんを喜ばすことではなく、患者さんの薬物治療に貢献することが仕事なのだと、改めて感じました。
癌患者と家族への対応
- 癌患者とその家族に対して告知やメンタルケアのためのお手伝いは薬剤部や地域の薬局など周りの人たちを巻き込んで薬薬連携の延長上でよくやっているなと思いました。
ドラッグストアの薬剤師
- 調剤薬局が閉まった後も、ドラッグストアの薬剤師が最後の砦としてセルフメディケーションから調剤まで仕事をしている。頑張ってほしい!!病院と薬局が一緒に休むのなら院内調剤と同じだ。
夜中まで勉強
- 夜遅くまで患者のために書籍や論文を探し勉強している姿は、以前病院薬剤師時代、病棟業務を始めた頃の自分を見ているようで(ほぼ毎日23時~0時頃まで薬局に残っていた)感慨深かった。
薬剤師同士の意識
- 同じ薬剤師と言いながらも立場により考え方や患者への対応が異なることに薬剤師間での差別意識が存在する点を表現している。
医者の息子が薬剤師に
- 医師になれなかった息子を親が薬剤師ごと馬鹿にしている話。しかし、最後は仕事ぶりを認めてくれた話。
- 医者の息子が医学部に行けず薬剤師になる話。医学部受験の仮面浪人の多い薬学部ならでは。
患者を治療したのは
- 田中圭さんが患者を治したのは医者だと言うセリフ。現場で活躍する機会が増えると勘違いしそうになる。あの戒めの言葉に似た考えは自分の中にも常にある。
ドラマとして現実の薬剤師の業務とはややかけ離れた脚色や描写もあるというご意見もありましたが、病院薬剤師が主人公の初の医療ドラマを皆さんそれぞれの立場で楽しんでご覧になっていたようです。ドラマに対するさまざまなご要望や期待が含まれた感想もいただきました。次回は、『「こんな医療シーンも見たい!」今後に期待する薬剤師ドラマのテーマは?』をお届けします。