「バイタルサインを学ぼう②呼吸」薬剤師が覚えたいフィジカルアセスメント
視診/呼吸器系の身体所見
①呼吸数・正常:14〜20回/分(20あるいは30秒数えて1分に換算)
- 減少:催眠薬、モルヒネ、脳圧亢進・増加:アスピリンの過剰投与、発熱など
②呼吸の大きさ
- 過換気:呼吸数が増加し、1回換気量も多い
- 少呼吸:1回換気量が少ない
- 無呼吸、呼吸停止
③呼吸パターンの異常
- チェーンストークス呼吸:呼吸中枢の障害など
- クスマール呼吸:代謝性アシドーシス
- 陥没呼吸(吸気時に鎖骨上窩、肋間の陥凹):重度の気道狭窄や線維化肺による肺弾性の低下のために胸腔内圧が上昇
- 起座呼吸:喘息発作、心不全
- 口すぼめ呼吸:末梢の気道狭窄
- 下顎呼吸:重症な全身状態
聴診/呼吸器系の身体所見
①聴取される音の種類
②聴取部位
3、動脈血中の酸素濃度/呼吸器系の身体所見
①酸素飽和濃度(SpO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の関係酸素飽和濃度が同じでも、ヘモグロビンが低下すると酸素含量も低下する。
経皮的動脈血酸素飽和濃度(SpO2)モニター=パルスオキシメーター、SpO2モニター 正常:98-96%、90%=PaO2 60mmHg
②動脈血酸素分圧および動脈血二酸化炭素分圧の病態生理学的意義
4、医薬品副作用から考えられる呼吸器身体所見の異常/呼吸器系の身体所見
副作用と呼吸器の身体所見
視診・聴診 | SpO2低下 | |
呼吸抑制・モルヒネ、パルビツレート | 少呼吸 | 肺胞低換気 |
気道異物としての薬剤 | 連続性ラ音、呼吸音減弱 | 肺胞低換気 |
アナフィラキシーショック | 連続性ラ音 | 肺胞低換気 |
薬剤性喘息憎悪:ベーター遮断薬、NASAIDs | 連続性ラ音 | 肺胞低換気 |
薬剤性(間質性)肺炎 | 断続性ラ音、呼吸音減弱 | 拡散障害 |
易感染性/肺炎 | 断続性ラ音、呼吸音減弱 | 拡散障害 |
易出血性/肺胞出血 | 断続性ラ音、呼吸音減弱 | 拡散障害 |
易塞栓・血栓性/肺塞栓症 | 断続性ラ音、呼吸音減弱 | 換気血流不均等 |
執筆:大野 勲
Souce:
「一般社団法人日本病院薬剤師会:薬剤師によるフィジカルアセスメント~バイタルサインを学ぶ~(医薬品に関連した副作用として身体所見把握するための基礎を修得する),2012年6月9日. (https://www.jshp.or.jp/activity/guideline/20120622-1.pdf)2024年4月15日参照」
※上記は2012年に執筆された寄稿です。