本人になかなか会えない場合、薬歴はどう書けばよい?
お悩みポイント
今回のお悩みを紹介しましょう。患者さんは95歳の女性。診察は受けているようですが、ご本人は薬局にはごくたまにしかお見えになりません。いつも娘さんが処方せんをもって来局されます。
「ごくたまにしかご本人は薬を取りにお見えにならず、ご家族が代わりにが来てくれます。会話としては、『おばあちゃまお元気ですか?』、『母は家では歩いているけど外にはなかなか億劫で出てこないのよ』などというやり取りをしているくらいです。こんな場合、薬歴にはなにを書けばよいのでしょう?」
[処方内容]
カリーユニ点眼液0.005% 5mL 10瓶 | 1日 3回 両眼点眼 |
サンコバ点眼液0.02% 5mL 10瓶 | 疲れた時 |
(ある日の薬歴1)
- (S/O)Do
- (A/P)コンプライアンス良好
- (A/P)開封後は衛生上、1カ月で捨ててしまって
- (A/P)点眼した後は1~5分間目を閉じて。
- (S/O)Do
- (S/O)娘さんへ
- (A/P)容器が患部に触れないように使用して下さい
- (A/P)点眼上向きに保存してくだい。
プロブレムが想定できない場合はSOAPで書く必要はありません
これまで何度もお話してきていますが、SOAPは患者さんを目の前にして、プロブレムを考えるためのガイドです。だから、プロブレムを想定していない患者さんの場合、SOAPで考えていないので、SOAPで薬歴を書いてはおかしいということになります。この薬歴も苦し紛れに(S/O)や(A/P)と行頭マークを付けていますが、普通に箇条書きで書いたほうが見やすい薬歴になると思います。
そしてこれも何度か触れましたが、「Do」は必要ありません。「処方が変わらないこと」がなんらかの意味を持つプロブレムを取り上げている場合を除き、書く必要のない情報です。無駄な記載はやめましょう。
このような場合は、こちらからお話したことを、簡潔に箇条書きにすれば十分です。まずはシンプルに書き直してみましょう。
- 来局は娘さん
- コンプライアンス良好。
- 開封後は衛生上、1カ月で捨ててしまって。
- 点眼した後は1~5分間目を閉じて。
- 娘さんへ
- コンプライアンス良好。
- 容器が患部に触れないように使用して下さい
- 点眼上向きに保存してくだい。
服薬指導はできれば本人、難しければメモなどを活用しましょう
さて、これではきっとこの方のお悩みには答えていないと思いますので、単に薬歴にどう書くのかではなくて、このようにご本人になかなか会えない場合の服薬指導をどのようにすればよいのかについて、考えてみましょう。
まず…