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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2019年12月9日 岡村 祐聡

用法用量の説明などをすべて薬歴に書くべきですか?

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 今日はこんな質問をいただきました。多くの皆様に参考になると思いますので、それについてお話しましょう。

お悩み
先生からは「やったことは薬歴にすべて書くように」と教わりましたが、このように薬がたくさんある場合に、用法用量をすべて書かなくてはいけないでしょうか?
患者さんは50代の男性。

[処方内容]

ベサフィブラートSR錠200㎎ 2錠  分2 朝夕食後
フェブリック錠20㎎ 1錠  分1 朝食後 30日分
ロキソプロフェンNa錠60㎎ 3錠
レバミピド錠100㎎ 3錠  分3 毎食後 7日分
Before
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[薬歴]
(初来局)
  • 他科受診、多剤併用なし。常用薬、サプリメント類なし。
  • 会社の検査でコレステロールと尿酸の値が高かった。8.8だった。先生はおそらく痛風で間違いないと。今は痛みはない。痛みが出たら痛み止めを飲むように言われている。
  • 尿酸8.8
  • フェブリック服用開始後、痛みが出る可能性あり。
  • 用法、用量説明。
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指導した旨の記載だけではなく指導内容を記載すべき

 これまでも何度か触れたことだと思いますが、「用法用量を説明」という指導した旨だけを記載しているのは、適切ではないと考えます。ただ、この質問者の「用法用量の説明をしていますが、それを全部書かなければいけないのですか?」という疑問はもっともです。「処方は記載されているのだから、そちらを見えれば指導した内容はわかりますよね?」ということですよね。
 しかし、何度も申し上げているように、薬歴が薬剤師の医療記録であるならば、やはりどんな指導をしたのかを明確に記録しておく必要があると思います。この原理原則は、なにがあっても曲げてはいけない部分だと思います。
 ただ、そうはいってもこれだけ服用時点がいろいろある処方について、すべての薬品名を書いたうえで「朝夕食後、朝食後、毎食後」の用法用量を全部書くのはなかなか大変です。そんな場合はどのように考え、どのようにすればよいのでしょうか。

初回からプロブレムを抽出し、指導する習慣をつけよう

 まず大前提として、プロブレムを抽出し、それに対するしっかりした指導を組み立てることを優先することを考えてください。初回服薬指導であっても、「プロブレムが抽出できた場合はSOAPで書く」ということは、これまでもお話してきたところです。
 「初回だからSOAPではなくても良い」と考えるのではなく、「初回からしっかりとプロブレムを抽出できるようになる」ことを意識してみましょう。そうなると、記録として詳細に書くべきことは見出したプロブレムについてですから、「初回服薬指導」の部分は、要点を簡潔に箇条書きすればよいと思います。

After
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  • #薬を飲み始めると痛みが出る可能性がある
  • (S)会社の検査でコレステロールと尿酸値が高かったので受診しました。以前、右足の親指が少し腫れて痛かったことがあると話したら、先生から「痛風で間違いないですね」と言われました。
  • (O)尿酸値8.8.今は痛みはない。軽い発作は過去にあるが、激しい発作の経験はなし。痛みが出たら痛み止めを飲むように言われている。
  • (A)不安にならないように、フェブリック服用開始後痛みが出る可能性があることを理解してもらいたい。
  • (P)フェブリックというお薬は、尿酸値を下げるお薬なので、痛風を直してくれます。ただ、飲み始めたときに、痛みが出ることがあります。その場合は痛みがある間だけロキソニンとレバミピドを毎食後にお飲みください。ロキソニンを飲んでいる間も、フェブリックは飲み続けてください。
  • ●他科受診、多剤併用なし。常用薬、サプリメント類なし。
  • ●(薬袋を示しながら)こちらにかいてある通り、朝食後、および朝夕食後にそれぞれお飲みください。痛みが出た場合はそれらと合わせて、7日分の薬を毎食後にお飲み下さい。
薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~ 用法用量の説明などをすべて薬歴に書くべきですか? afterの画像2
解決!
プロブレムを取り上げ、薬歴に簡潔に記載

 例えばこの症例の場合なら、「フ

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年には、服薬ケアを学ぶ全国の有志で設立された「服薬ケア研究会」から要請を受け、会頭に就任。最新著書は「10日間で極意をつかむ選ばれるかかりつけ薬剤師になる 患者応対技術と服薬ケアコミュニケーション」(診断と治療社)。書籍の詳細は服薬ケア研究所のホームページを参照。
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