薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2020年5月20日 岡村 祐聡

まとまりのない、だらだらした薬歴はどう改善すればいいですか?

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今回は、患者さんへの着目点と薬歴の「クラスタリング」について考えてみましょう。

お悩み

いつも薬歴をだらだら書いてしまい、時間もかかるし、長めになることが悩みです。まとまりがない薬歴をスッキリ明瞭にするためにはどうすればよいでしょうか?アドバイスをお願いします。

なるほど。薬剤師によくある悩みですね。きっとクラスタリングがうまくできていないことが原因だと思います。それではさっそく拝見しましょう。

症例

患者さんは32歳 女性。心療内科へかかっています。パロキセチン20mg を2錠1日1回夕食後で服用していたが、5カ月生理が来ていないとのことで医師へ報告。その後パロキセチン20mg を1錠へ減量、さらにパロキセチン10mg を1錠に減量したところ、イライラを訴え、また20mgを1錠へ戻したときの薬歴です。

処方

パロキセチン錠20mg 1錠 分1 就寝前14日分
ロラゼパム錠0.5mg 3錠 分3 毎食後14日分
アリピプラゾール錠24mg 1錠 分1 就寝前14日分
クロルプロマジン錠12.5mg 1錠 不安時 14回分

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薬歴Before


S) 寝る前のイライラ感が強い。寝るまで時間がかかってしまう。毎晩それが続いている。午後になると、またイライラが始まったりして、自分を責めてしまう。イライラ感がなくなればよいのだけれどと本人は口にする。
O) 母親の来局。パロキセチンは20mg に増量。残薬有り、ロラゼパム、次回残薬調整。ミアンセリン塩酸塩錠削除。アリピプラゾールの増量。クロルプロマジンの追加。
A) パキシルの減量により、イライラが強まっている。寝る前のイライラ、日中のイライラあり。パロキセチンの減量の調整が必要だったのではないだろうか?20mg から15mg にするなど… テトラミド削除は、アリピプラゾールを増量したことによるアカシジアを考慮してだろうか? パロキセチンの増量による生理不順もまた起こる可能性もあるが、まず、生理を整える前に精神面を安定させることが大切と説明。
P) イライラした時は、クロルプロマジンを頓用するように。ものにあたったりしないで頓服の服用を。薬による眠気やふらつきに注意を。その後の様子を確認して下さい。次回、ジェネリックへの変更希望をお聞きする。
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患者さんのどこに着目したかを明確にして内容を整理する

たしかにまとまりがなく、一読しただけではよくわからない薬歴になっていますね。それではどこをどのように直していけばよいか、考えてみましょう。 まず、処方せんを持ってきたのが母親であり、本人とは話していないことがOに書いてありますね。これは読み始める前に情報として提示しておきたいので、先頭に【母親が来局】と明記しましょう。

次に大事なのは、今日この患者さんのどこに着目して、薬剤師としてどんな指導をしようと思ったかです。それを明らかにしましょう。
プロブレム(着目点)の中心は、やはり一度減量されたパロキセチンが再び増量されたことだと思います。その理由は、「減量したことによりイライラが増えてしまった」ことでしょうから、これがO情報ですね。

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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