この服薬指導で、患者さんはきちんと薬を飲んでくれるのか?
今回は、服薬指導についてのお悩みです。その中でも患者さんの服薬意欲や薬識についてをテーマにしてみたいと思います。
普段私がしているような服薬指導で、患者さんがお薬を飲んでみようという気持ちになるのか、疑問です。
現状のご自身の服薬指導に納得がいかないようです。ただ、「自分の指導で患者さんがきちんと薬を飲んでくれるのか?」と疑問を持つこと自体が、素晴らしいことだと思います。ぜひ服薬ケアを学び、自信をもって服薬指導にあたれるようになってください。
〈症例〉
68歳男性。まじめな性格。食事や運動など生活上の注意もまじめに取り組み、薬の服用もしっかりしている模様。前回は痛風の発作時ということで、ロキソニンとムコスタが出ていたが、今回はなし。今回からゼチーア追加。
〈処方〉
ベザトールSR 錠200mg 2 錠 分2 朝夕食後 30 日分
ザイロリック錠100mg 1 錠 分1 朝食後 30 日分
ゼチーア錠10mg 1 錠 分1 朝食後 30 日分
薬歴Before
S) | ベザトールSR錠200mg 飲んで、中性脂肪は下がったんですよ!ただ悪玉は上がってた。でもね、今日は患者さん多くて、先生に会えなかったんです。だから、処方どおりに3種類、飲んでみますね。 |
O) | まじめに薬を服用して、数値の改善に努めている印象を受ける(「中性脂肪は、〇だったのが△まで下がった、尿酸値も12 あったのが7くらいまで下がったんですよ」との訴えあり)。 |
A) | 今回、患者は医師とお話していないので、自己判断で服用を止めることのないような、服薬意欲が落ちないような説明が必要と考えた。 |
P) | 中性脂肪がきちんと落ちているのは、ベザトールSR 錠200mg の服用を続けた成果だと思います。ただ、今回は先生と直接お話ができていないということですので、これから一カ月間はこれまでどおりベザトールSR 錠200mg の服用を続けましょう。また尿酸値も下がったとのことですが、発作の痛みは耐えがたいでしょう。辛い思いをしないよう、予防と思って、ザイロリック錠を飲み続けてください。それと、今回初めて服用して頂くゼチーア錠は、悪玉のLDL コレステロールの低下作用がありますので、これも服用してみてください。 |
服薬意欲に着目してプロブレムを構成することから始めよう
お悩みも「これで薬をちゃんと飲んでくれるのだろうか」ということでしたが、薬歴を見ても、Aに「服薬意欲が落ちないような説明が必要と考えた」と、服薬意欲に着目していることがわかります。これは素晴らしいですね。そもそも着目できなければ、改善も何もありませんので、まずは着目してプロブレムと認識することからすべてが始まります。
さて、それでは、なぜ「自己判断で服用を止める…」かもしれないと思ったのでしょうか?
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