薬歴のA(アセスメント)の正しい書き方は?
今回は薬歴のA(アセスメント)について考えてみたいと思います。まずは、症例とビフォーの薬歴からみていきます。
(症例)
35歳男性。本人とはほとんど意思疎通ができないため、相談及び指導はいつも同行する父親と行う。血圧は130/80くらいで下がりすぎることもなく安定。ただし自宅では本人が拒否するため測ることができない。5年ほど前、脈拍が120を超え拡張期血圧が100を超えていたので飲み始める。その後服用薬や服用量をいろいろ調整しながら、1年ほど前より今の処方で落ち着いている。
〈処方〉
カルバン錠50mg 1 錠 分1 朝食後 30日分
アムロジン錠5mg 1 錠 分1 朝食後 30日分
(薬歴より、他院:精神科にて下記処方を服用中)
セレネース1mg
アキネトン1mg
ピレチア錠5mg
ランドセン0.5mg
ベンザリン錠2mg すべて分1寝る前 30日分
薬歴Before
S)精神科の先生に「血圧の薬は血圧が高くないなら止めてもいいよ」と言われたので先生にそれを伝えたが「飲んでいた方が良い」と言われた。
O)今日の血圧は134/80 で低くない。飲んでいてふらつきやめまい、血圧が低いと訴えたことは一度もない。
A)服薬の継続は必要。
P)お薬を飲み始めたときのことを覚えていらっしゃいますか?血圧ももちろん高かったですが、脈拍がとても多くしんどそうにされていましたね。お薬もずっと同じように飲まれてきたのではなく血圧の数値や脈の状態で増やしたり減らしたりしてきました。たしかにお薬はへらせるものなら減らしていきたいです。先生もそうお考えでしょう。
ただ最近は、血圧はお薬の助けを借りてちょうど良い状態を維持しています。今、お薬の助けがなくなったら元に戻っていく可能性があると考えられますから先生のおっしゃるようにお薬は継続されておかれた方が良いでしょう。もしお薬を飲んでいて血圧が低い状態が続いたりふらふらしているなどいつもと様子が違ったら相談をして下さい。
S2)脈拍のことはすっかり忘れていたよ。確かにしんどそうだった。薬を飲んで血圧がちょうど良いときは止めない方がいいんだね。
P (プロブレム)に対してのA (アセスメント)が正しくないのではないか?と思います。他にも全体に足りないところがあると感じているのですが、それが何かわからないので教えていただきたいです。
薬歴の重要性について
まずはじめに、なぜ薬歴が大切かをおさらいしておきましょう。薬歴(薬剤服用歴)とは、薬剤師がおこなう服薬指導の内容を記録したものです。患者さんひとりひとりの薬歴を正しく管理することは、副作用などの薬物療法による事故を防ぐことにつながります。
薬歴はほかの薬剤師が読んでもわかりやすいように「簡潔に書くこと」や「次回の投薬時の参考になる内容を書くこと」が重要です。そこで近年では「SOAP方式」を用いて記載することが主流となっています。
SOAP方式のA(アセスメント)とは
SOAP方式とは薬歴の基本的な記載方法で、S (Subject:患者さんの主観的情報)、O (Object:検査結果などの客観的情報)、A (Assessment:薬剤師の分析や評価)、P (Plan:今後の計画)に分けられています。そのなかでもA(アセスメント)についてもう少し詳しく説明します。
A(アセスメント)では、薬剤師は患者さんの症状や検査結果の情報を踏まえた上で、それらを分析して問題点を考察します。また、服薬指導をする中で感じた患者さんの理解度や治療の達成度なども記載するとよりよいでしょう。十分な情報がないと書くことが難しい項目でもあるので、必要な情報をいかに収集するかがポイントです。
プロブレム(着目点)はA(アセスメント)に表れる
それではお悩みについてみていきましょう。今回は、「A(アセスメント)はこれで良いのか?」というお悩みです。プロブレムとは「薬剤師として患者さんのどんなところに着目したのか」であり、A(アセスメント)とは、「どのように着目したのか、(その着目点を)どのように考えたのか」になります。ご自身で「P(プロブレム)に対するA(アセスメント)が正しくないのでは?」と思ったのはなぜでしょう?そのあたりにきっと解決のヒントがあると思います。
まず、Pに書かれている患者さん(正確には患者さんの父親)に述べたことは大体良いのではないでしょうか。基本的には医師の処方意図を改めて説明するのが薬剤師の仕事のひとつです。それでは、「そのように説明した方が良い」と考えたのはなぜでしょう。それがアセスメントになります。
薬歴から推測するに、質問者である薬剤師の考えたことは、
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