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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2021年2月6日 岡村 祐聡

吸入薬の指導・・・吸入手技は何度も確認していたはずだが・・・!?

吸入薬の指導・・・吸入手技は何度も確認していたはずだが・・・!?のメイン画像1

思うように吸入薬の効果が見られない患者さん。患者さんからよくお話を伺わないと、プロブレムに気が付けない症例です。

(症例)
71歳 男性 COPD 以前はタバコを吸っていたが去年呼吸器科への受診を機に、医師のすすめで禁煙。
当初アノーロエリプタを吸入していたが、咳、痰、息苦しさがまったく改善せず、前回からテリルジーエリプタに変更。


〈処方〉
テリルジー100エリプタ30吸入用 1個 1日1回 1回1吸入(他科併用薬)
アトルバスタチン錠5mg 1錠 1×夕食後 30日分
ミノドロン酸錠50mg 1錠 1×起床時  1日分

吸入薬の指導・・・吸入手技は何度も確認していたはずだが・・・!?の画像1

薬歴Before

S) 前回から薬変わったけど症状が変わらないね。
O) 咳、痰、息苦しさなど、相変わらず。薬が変わってよくなると期待していたのにガッカリだとのこと。
A) 継続服用
P) もう少し使ってみてください。良くなってくるかもしれません。
吸入薬の指導・・・吸入手技は何度も確認していたはずだが・・・!?の画像2

服薬状況や前回の薬歴に注意深く関心を寄せる

息苦しさを継続して訴える患者さん。薬剤師は通り一遍の指導だけして患者さんを帰してしまったようでした。

お話を伺ったところ、この薬局では患者数が多く大変忙しいため、処方せんだけみて投薬するということでした。担当した薬剤師は「せめて前回の薬歴くらいは確認しよう」と同僚に言い続けていますが、他の薬剤師は関心をほとんど示さないということで「どうしたらみんなが薬歴を見てくれるようになるでしょうか?」と相談されました。

薬歴を確認しない投薬などあり得ない!

薬局は医療施設です。薬剤師は薬局において、医師とは違う医療行為を行っています。われわれ薬剤師の医療においては、患者さんの服薬状況の確認は不可欠です。
特にこの患者さんのように、効果が思わしくない場合は、薬歴を確認し、患者さんからお話を伺い、何か問題がないか探し出し、もし何かあればそれを改善するための努力をしなければなりません。過去の薬歴を確認せずに、処方せんだけで投薬するなど、本来ならあり得ないことです。ぜひ、根気良く話し合い、薬剤師として何をすべきなのか、薬局としての考え方を明確にするように努力してみてください。

いつも申し上げていますが、薬剤師として最低限のこともできていないような薬局は、…

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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