医師から「薬のせいじゃない」と言われたことについて、薬歴にどう書く?
[目次]
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お悩み
処方薬とは関係ないことを、どう書けばいいの?
患者さん:Bさん女性63歳。
7年ほど前、気分が悪く手足のしびれを訴え受診したところ、脳梗塞が見つかり入院。心房細動も指摘され、アブレーション。その後抗凝固薬のみ処方が続いている。併用薬、他科受診はなし。アドヒアランスは良好。『夜何度もおしっこに起きる』ことが気になるが、ドクターからは薬のせいじゃないと言われた。
[処方内容]
プラザキサカプセル75mg 1回2cap 1日2回 朝夕食後 28日
7年ほど前、気分が悪く手足のしびれを訴え受診したところ、脳梗塞が見つかり入院。心房細動も指摘され、アブレーション。その後抗凝固薬のみ処方が続いている。併用薬、他科受診はなし。アドヒアランスは良好。『夜何度もおしっこに起きる』ことが気になるが、ドクターからは薬のせいじゃないと言われた。
[処方内容]
プラザキサカプセル75mg 1回2cap 1日2回 朝夕食後 28日
今回のお悩みは、次のようなケースです。
ある日来局したBさんより「先生が気になることある?って聞くから『夜何度もおしっこに起きる』と答えたら薬のせいじゃないから泌尿器科行けって言われたんだけど・・・」と相談されました。添付文書で頻尿の副作用がないことを確認したうえで、お薬以外の理由を考えてみました。実はBさんは美容院を経営しており、昼間は一日中立ちっぱなしのお仕事です。以前から足の浮腫みの悩みを聞いていたため、浮腫みによる夜間頻尿の可能性もあるかなと考えました。そのため今日は、足を高くして寝るなど、浮腫みの解消を試みるようにお話をしました。
実際に患者さんとお話したことは、今日の処方薬と関係ないことです。そのようなケースは結構多いのですが、薬歴にはどのように書けばよいでしょうか?
ある日来局したBさんより「先生が気になることある?って聞くから『夜何度もおしっこに起きる』と答えたら薬のせいじゃないから泌尿器科行けって言われたんだけど・・・」と相談されました。添付文書で頻尿の副作用がないことを確認したうえで、お薬以外の理由を考えてみました。実はBさんは美容院を経営しており、昼間は一日中立ちっぱなしのお仕事です。以前から足の浮腫みの悩みを聞いていたため、浮腫みによる夜間頻尿の可能性もあるかなと考えました。そのため今日は、足を高くして寝るなど、浮腫みの解消を試みるようにお話をしました。
実際に患者さんとお話したことは、今日の処方薬と関係ないことです。そのようなケースは結構多いのですが、薬歴にはどのように書けばよいでしょうか?
解決!
薬剤師が立てるプロブレムは薬に限らない
前回(第1回 色々話したのに、SOAPで薬歴に書くことがない)は、「薬剤師らしいプロブレムを立てましょう」というお話をしました。それでは「薬剤師らしいプロブレム」とは具体的にはどんなものなのでしょうか。確かに処方せんの処方薬と今日のお話は、直接は関係ありません。ドクターも「薬のせいではない」という判断でした。それではそのプロブレムは薬剤師のプロブレムとしてふさわしくないかというと、そんなことはないと思います。
- プロブレムは患者さんの人生の中にあり!
私はよく「プロブレムは患者さんの人生の中にある」と申し上げております。日常生活の中にある、具合の悪いところや健康への不安などは、処方されている薬と直接関係がなくても、すべて薬剤師がプロブレムとして取り上げて構わないと考えています。いや、構わないというより、むしろ積極的に薬剤師が取り上げるべきだと考えています。
なぜかといいますと、例えば今回のBさんのケース。ドクターから促されて、日頃気になっている「夜おしっこに起きる」ということを口にしてみたものの、「それは薬のせいじゃない。泌尿器科へ行け」とつれない返事をもらってしまいました。このやり取りにより、ドクターへの信頼感を失ったり、薬物治療への意欲を減退させたりするようなことがあれば、せっかくの良好な服薬行動が阻害され、今後アドヒアランスが悪くなるかもしれません。適切な服薬行動のためには、適切な服薬意欲が必要です。日常生活に関わるさまざまな事柄、その中でも特に体調に関わることは、「薬物治療をうまく進めるために」薬剤師が積極的に取り上げるべきプロブレムです。
なぜかといいますと、例えば今回のBさんのケース。ドクターから促されて、日頃気になっている「夜おしっこに起きる」ということを口にしてみたものの、「それは薬のせいじゃない。泌尿器科へ行け」とつれない返事をもらってしまいました。このやり取りにより、ドクターへの信頼感を失ったり、薬物治療への意欲を減退させたりするようなことがあれば、せっかくの良好な服薬行動が阻害され、今後アドヒアランスが悪くなるかもしれません。適切な服薬行動のためには、適切な服薬意欲が必要です。日常生活に関わるさまざまな事柄、その中でも特に体調に関わることは、「薬物治療をうまく進めるために」薬剤師が積極的に取り上げるべきプロブレムです。
- プロブレムへの対処は「感情への着目」が重要
さてそれでは、このプロブレム。どのように取り上げ、どのように薬歴記載すればよいでしょうか。
まず、服薬ケアで最も重視している「感情への着目」をしてみましょう。Bさんは、医師から「泌尿器科へ行け」と言われてどのように感じたのでしょう。それによって、このプロブレムへの対処の仕方が変わってきます。「えっ!泌尿器科に行かなければいけないの?」とびっくりしてしまったのでしょうか。それとも「別にそんなつもりで言ったわけではないのに…。気になることはないかと聞かれたから答えただけなのに…」とドクターの対応に不満を感じたのでしょうか。そのあたりをしっかりと聞き出さないと、このプロブレムに対する適切な対応ができません。
まず、服薬ケアで最も重視している「感情への着目」をしてみましょう。Bさんは、医師から「泌尿器科へ行け」と言われてどのように感じたのでしょう。それによって、このプロブレムへの対処の仕方が変わってきます。「えっ!泌尿器科に行かなければいけないの?」とびっくりしてしまったのでしょうか。それとも「別にそんなつもりで言ったわけではないのに…。気になることはないかと聞かれたから答えただけなのに…」とドクターの対応に不満を感じたのでしょうか。そのあたりをしっかりと聞き出さないと、このプロブレムに対する適切な対応ができません。
まず、担当薬剤師が最初に書いた薬歴を拝見しましょう。
Before
[薬歴]
- (S)内出血などないけど気になること「夜間頻尿、昼間はまったく行かない」と言った。先生は薬のせいじゃないから泌尿器科行くように言っていた。
- (O)前回とDo併用薬なし。
- (A)抗凝固薬による内出血ない旨確認。昼間行かないが夜間頻尿1~2間おき。浮腫による夜間頻尿の疑い。
- (P)夕方、足を高くして横になったり、入浴で血行を良くしたりして寝る前に水分出すとよいかも。ダメなら泌尿器科へ!次回どうだったか確認する。
- プロブレムに関係のないことは書いてはいけない
まず大原則として、プロブレムに関係のないことをSOAPの中に混ぜ込んではいけません。例えば、Oの「前回とDo併用薬なし」は、今回…