薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2022年8月1日 岡村 祐聡

正しい薬歴のためにA(アセスメント)を見極めよう

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お悩み

認知症気味の患者さん。2種類の塗り薬を手で混ぜ合わせて塗るように医師より指示を受けたが、一人ではできそうにないとご家族が心配しています。この薬歴ではご家族の一番の心配が伝わっていないと思うのですが。会社からは「とにかく薬歴は簡潔に書け!」と言われて、詳しく書くと怒られます。これで正しい薬歴になっているでしょうか?

(症例)
76歳女性。大学病院の物忘れ外来に通い、レミニールOD錠が処方されている(お薬手帳で確認)。かかりつけの近所のクリニックでは、風邪薬、肩や腰の痛みでロキソニンテープが出ることもある。エディロールをずっと処方されているが、30日分処方で来局するのは、2カ月に1回ほど。娘さんと同居している。今回は全身の痒みを訴えたら、2種類の塗り薬が処方され、手の平で混ぜて塗るように指示を受ける。娘さんが塗ってあげるときはよいが、一人ではできないのではないかと、娘さんが心配している。
(お薬手帳より)大学病院の物忘れ外来
   レミニールOD錠8mg
   ミヤBM錠
   サアミオン錠5mg


〈今回の処方〉
  Rp.1 エディロール0.75㎍  1C分1 朝食後 30日分
  Rp.2 プロペト 100g   1日2回
  Rp.3 ネリゾナソリューション50ml
   精製水60ml
   無水エタノール「マルイシ」70ml Mix:1日2~3回全身の痒いところ
  ※Rp.2とRp.3を手の平で混ぜて痒い所に塗るように

〈今回の処方〉
 Rp.1 エディロール0.75㎍
    1C分1 朝食後 30日分
 Rp.2 プロペト 100g  1日2回
 Rp.3 ネリゾナソリューション50ml
  精製水60ml
  無水エタノール「マルイシ」70ml
  Mix:1日2~3回全身の痒いところ
 ※Rp.2とRp.3を手の平で混ぜて
  痒い所に塗るように

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薬歴Before

S) 家族より、プロペトとローションは、必ず混ぜて使わないといけませんか?私が一緒にいるときはできますが、本人一人のときはできないかもしれないので。
O) 認知症で、指示どおりに塗れないことを心配している。
A) 片方だけ使っても無駄ではない。
P) 仮に例えばプロペトしか塗らなかったとしても、乾燥からくる痒みでしたらかなり抑えられますので、それはそれで良しとしてください。
S₂) 片方だけ塗っても無駄ではないんですね。
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このA(アセスメント)が患者さんのプロブレムを言い表しているか考える

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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