薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2022年12月16日 岡村 祐聡

服薬指導のノウハウ「情報の追加と確認」について

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お悩み

いつも勉強させてもらっております。初めての患者さんで「グレープフルーツジュースが血圧の薬の代わりになるんですか?」と質問されました。どういうことがよくわからず、うまく書けなくて、こんな薬歴になってしまいました。どうしたらよかったでしょうか?

(症例)
62歳 男性


〈処方〉
  Rp. アムロジピン5㎎錠 1錠
  分1  朝食後 30日分

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薬歴Before

S) 血圧が高いが自覚症状はない。頭痛もないし、気分悪いこともない。
S) この薬、グレープフルーツジュースを一緒に飲んではいけないと言うが、グレープフルーツジュースが血圧の薬の代わりになりますか?
O) 初処方 本人。
O) 血圧160/112とかなりの高値、であるものの、本人には自覚症状がない、とのこと。
A) 冬場でもあり、これほどの血圧高値であるのと、脳や心臓等の血管にかなりの負担がかかる可能性が高いと考えられるため、できることなら、正常範囲内にまで血圧をコントロールする必要がある。
EP) 血管を広げることで、血圧を下げる効果のある薬です。血圧が安定するまで、1週間から10日みていただく必要があります。服用に際し、顔の火照り感や歯茎の腫れ、ふらつきなど頻繁に出てくるようであれば、医師に申告してください。
EP) グレープフルーツジュースと、この薬とは相性が悪いため、血圧が下がりすぎる方向に働く可能性があります。グレープフルーツジュースが血圧の薬のかわりにはなりません。
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情報が足りないときは「情報の追加と確認」をする

「お悩み」にも『どういうことがわからず』と書いてありますが、わからなかったらご本人に聞いてください。決定的に情報が足りません。

服薬ケアのノウハウの中に「服薬ケアステップ」という服薬指導を組み立てるための方法論があります。その中の一番大切なステップが4番目のステップで「情報の追加と確認」です。この「情報の追加と確認」を必ず行いましょう。

具体的には、この事例の場合「なぜグレープフルーツジュースが血圧の薬の代わりになる」という疑問をもったのかを患者さんに確認する必要があるでしょう。プロブレムはそのあたりにあるはずです。患者さんの「感情へ着目」することで、服薬行動への影響がありそうかどうか、ある程度の感触はつかめるはずです。

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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