薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2023年3月16日 岡村 祐聡

圧倒的な情報不足!もっと突っ込んだ情報収集を!

圧倒的な情報不足!もっと突っ込んだ情報収集を!のメイン画像1
お悩み

患者さんが高齢のため、付き添いの方に薬の受け渡しをしています。患者さんは薬が減って症状がひどくなることを心配していますが、薬剤師としては何も言ってあげることができません。どうすれば良いでしょうか?

(症例)
85歳 男性
今回、ベタニス錠50㎎と塗り薬がオフになっている。先生が薬を減らすとおっしゃっていたが、「トイレの症状が悪化しないか」心配なさっている。塗り薬については手に使用。なくても大丈夫なのかお聞きしたが、それについてはお答えにならず、「処方せんがないと塗り薬は買えないのか」という質問があった。それについて、市販薬でも販売されていることを説明。いろいろな成分が入っているものが多いことも説明。


〈処方〉
Rp.
 シロドシン錠2mg 2錠  分2 
朝夕食後 40日分

 ちなみに前回までの処方は、
Rp.
 シロドシン錠2mg  2錠 分2 
朝夕食後  40日分
 ベタニス錠50㎎   1錠 分1 
朝食後   40日分
 ロコイド軟膏10g
 ヘパリン類似物質軟膏25g  MIX  1日2回患部に塗布

圧倒的な情報不足!もっと突っ込んだ情報収集を!の画像1

薬歴Before

♯:ベタニスがなくなって尿の症状がひどくならないか、代理の方が心配されている

S) 【代理の方にお渡し、ご本人様はイスに座ったまま】
先生は薬を減らすとおっしゃっております。薬が減ったことによって、トイレの症状はひどくならないでしょうか。
O) ひどくなる可能性はある。
A) 様子を見ていただくしかない。
EP) ひどくなる可能性はあります。ただ、先生は減らしていいだろうと判断されたので減らされたのだと思います。ひどくなって、次回薬が戻る可能性もあります。ただ、なんとも言えません。次回、先生にトイレの症状についておっしゃってください。
OP) トイレの症状確認

♯:塗り薬は先生の処方がないと買えないのか

S) 【前回の塗り薬はなくていいのですかとお聞きしたところ】
これは先生の処方せんがないともらえないのですか。
O) 市販薬で置いてある。
A) ただ、いろいろな成分が入っているものが多い。
EP) 2つとも市販薬で売っています。ただ、市販薬はいろいろな成分が入っているものが多いです。
OP) 手の症状確認。
圧倒的な情報不足!もっと突っ込んだ情報収集を!の画像2

プロブレムごとにクラスタリングされており、プロブレムネームもあり、素晴らしい!

まずプロブレムごとにクラスタリングされており、プロブレムネームも書いてあります。とても素晴らしいですね。薬局全体でこのような薬歴を書いているならば、素晴らしい薬局だと思います。

残念な点は、応対した相手が患者さんご本人ではなく代理の方であることや、塗り薬に関してこちらからお聞きしたことなど、書いておくのは良いことなのですが、Sに書くのはおかしいですね。代理の方である旨は、すべてのSOAPの前にあらかじめ記載しておくべきですし、こちらから質問したことかどうかは、SOAPの構成によっては書かなくても良いでしょう。このケースの場合は、「こちらかの質問には答えなかった」という点が患者さんの心理を表しているような気がするので、Oに書いておくと良いでしょう。

薬歴の書き方は良いのですが、内容はどうでしょうか。

圧倒的な情報不足!真のプロブレムがどこかを探ろう

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

岡村 祐聡の画像

岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

キーワード一覧

薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 ハイリスク薬 薬局経営 プロブレム 医療クイズ 選定療養 診療報酬改定