きちんと残された記録は薬剤師の仕事の質の高さを示す
いつも勉強させてもらっています。先日の服薬指導の際、患者さんが心配そうに相談され、いろいろ話しましたが、すごくスッキリして帰られたので、自分としては手応えがありました。ところが、書いた薬歴を自分で読んでみると、その充実感は全く感じられません。どこが悪いのでしょうか?
(症例)
70歳 男性
4年ほど前、症状が落ち着いてきたため、本人の希望で地域の基幹病院から近所のクリニックに転院。それ以来ずっと来局している。心臓にカテーテルが7本入っている。
〈処方〉
Rp. アゾセミド錠30㎎ 1錠
エナラプリルマレイン酸塩錠5㎎ 1錠
ロトリガ粒状カプセル2g 1包
分1 朝食後
Rp. カルベジロール錠10㎎ 2錠
分2 朝夕食後
Rp. ニコランジル錠5㎎ 1錠
分1 夕食後
薬歴Before
S) | 「検査で尿たんぱくが出ていたのだけど、友達で尿にたんぱくが出て『このままじゃ透析になっちゃう』と頭を抱えていたので、心配になっちゃって。僕も透析になっちゃうの?」 |
O) | BP122/75. Do処方。他の検査結果は良好。尿たんぱく±。この程度の値なら脱水や激しい運動をしたり、高熱が出たりすることでも出たりすることもある。 |
A) | 医師は心配ないと言っている。検査の前日は9時以降何も食べるなということで、水も一切口にしていない。 |
P) | プラスマイナスということであるので、この程度であれば、先生のおっしゃるように心配はないでしょう。 |
SOAPの構成がバラバラなので整理しよう
このコーナーをいつも読んでくださっている方なら、もうお分かりだと思いますが、SOAPの構成がバラバラです。いつも言うように、Aの根拠、証拠となる事実がO、そしてその背景や問題点のバックグラウンドを示す患者さんの言葉がSとなります。プロブレムに関係のない情報はSOAPの中に書いてはいけません。
SOAPを見てみると、まず「BP122/75」「Do処方」はプロブレムに関係がないので必要ありません。また、「この程度の値なら脱水や激しい運動をしたり、高熱が出たりすることでも出たりすることもある」は、自分が考えたことならAですが、実際には患者さんにそのようにお話したのではないでしょうか。それならAを簡潔に書いて、これはPに書いておくべきでしょう。いずれにしろOではありませんね。