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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2023年4月20日 岡村 祐聡

潰瘍性大腸炎の患者さんに「喫煙で発症リスクが下がるという真実」を伝えるべき!?

潰瘍性大腸炎の患者さんに「喫煙で発症リスクが下がるという真実」を伝えるべき!?のメイン画像1
お悩み

潰瘍性大腸炎の患者さんがいます。潰瘍性大腸炎は喫煙で発症リスクが下がることで知られていますが、喫煙そのものはやはりリスクがあるので、患者さんにはそのことはお話ししていません。どうすれば良いのでしょうか?

(症例)
40歳 男性
潰瘍性大腸炎で継続服用中。喫煙歴あり。


〈処方〉
Rp. アサコール錠400mg 6錠    分1  朝食後  30日分

潰瘍性大腸炎の患者さんに「喫煙で発症リスクが下がるという真実」を伝えるべき!?の画像1

薬歴Before

# 症状は落ち着いている。タバコと大腸炎の関係について注意が必要。

S) 症状は落ち着いています。お酒はよくないとDr.から言われていますが、タバコのことは聞いていません。今は10本くらい吸っています。
O) 処方は継続。サマリより喫煙歴あり。
A) 症状と服用量より寛解期と推測。
P) 活動期と寛解期を繰り返すことが多いので、安定していても服薬は忘れずに。喫煙と大腸炎は関係があります。もし禁煙することがあれば、Dr.に必ず相談してください。(喫煙のリスクを考え、喫煙している方が大腸炎の発症が少ないことはあえて言いませんでした)
潰瘍性大腸炎の患者さんに「喫煙で発症リスクが下がるという真実」を伝えるべき!?の画像2

患者さんに真実を隠すことの是非は?

一番のポイントは、やはり患者さんに対して「潰瘍性大腸炎は喫煙で発症リスクが下がる」点を隠すことの是非ですよね。これは正直難しいですね。隠すことが絶対に悪いとは言い切れないと思います。ただ、それにはいくつか条件があると思います。

一番は主治医がどう考えているかです。これは薬局として一度主治医に相談に行って、主治医の考えを聞いてくるべきでしょう。主治医の治療方針と異なる対応を続けるのは良くないことです。

もう一つは薬局内でのコンセンサスができているのかですね。対応する薬剤師が違うと、言うことが違うのでは、患者さんから信頼をいただくことは難しいです。

しかし私は、ありのままに事実を伝えるべきだと思います。「この病気に限っては、喫煙で発症リスクが下がることが知られているので、禁煙する場合は先生に必ず伝えてください。ただし他の病気のリスクを高めますので、喫煙そのものはあまりお勧めできません」と、しっかりお話してどうするのかご本人に決めていただくのが良いと思います。

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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