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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2023年8月2日 岡村 祐聡

フォローアップの薬歴もテーマが明確ならSOAPで書こう!

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お悩み

前回と同じ患者さん70歳女性です。前回の処方は60日分でしたが、「お昼の薬が飲めない」件が気になったので、1週間後に電話でフォローアップしてみました。フォローアップなのでSOAPでは書きませんでした。薬歴の記載はこれで良いでしょうか?

(いつも飲んでいる処方薬)
Rp. アトルバスタチン錠10㎎  1錠
  ランソプラゾールOD錠15㎎ 1錠
  アスピリン錠100㎎     1錠
           分1 朝食後
Rp. ダビガトラン75㎎   4カプセル
           分2 朝夕食後
Rp. ニコランジル錠5㎎     3錠
  ジルチアゼム塩酸塩錠30㎎  3錠 分3 毎食後

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薬歴Before

  • 前回質問のあったタビガトランはちゃんと医師の指示通りに飲んでいる。詳しい話は次回の診察時に聞いてみるつもりである。
  • 前回、お昼の薬が飲めないことが多いため、薬が大量に余っているという理由でニコランジルとジルチアゼムの処方を止めてもらったということだったので、1日3回の薬(ニコランジルとジルチアゼム)の服用状況を詳しく聞いてみたところ、実はお友達から「あなたお薬飲みすぎよ」と言われて怖くなって飲むのを止めていたとのこと。
  • 最初はお昼だけ飲まずに朝夕は飲んでいたが、お昼を飲まなくなっても、何も変わらないので、いつしか全く飲まなくなったとのこと。飲まなくても体調の変化はないので、「飲まなくて大丈夫みたい」と思っていた。
  • 「薬を飲みすぎ」というのは、そのお友達の知り合いが倒れて救急車で運ばれたのが、「薬の副作用かもしれない」ということで、たくさん飲んでいた薬のうち、2種類飲むのを止めるように医師より指示があり、止めてみたらすっかり良くなったということだった。その話を聞いてお友達も先生に相談したら、お薬が1つ減ったとか。「あなたも飲みすぎだから少し減らした方が良いわよ」と言われ、自分も倒れてしまったら怖いと思って飲むのを止めてみたということだった。
  • ただし、そのお友達も、そしてお友達の知り合いも、医師の指示により減薬している。自己判断で勝手に薬を止めるのは良くないので、2カ月後の診察を待たずに一度受診して、先生にその旨指示を仰ぐことを強くお勧めする。「そうね。そうしてみるわ」とのお返事。受診したら、処方せんがなくても薬局に寄って、先生から何と言われたか教えてくださいとお願いする。
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フォローアップの内容は素晴らしい

フォローアップについては、例えば4週間処方なら、その真ん中くらい(2週間程度あと)に一度電話すると決めている薬局もあるそうですが、薬剤師として気になることがある場合には、そんなルールに関わらずいつでもフォローアップすべきです。前回は患者さんからの質問を優先して、薬剤師が気になった「お昼の薬が飲めていない」点については、持ち越しとなりました。それが気になるということで、1週間後に電話をかけてみたのは、とても素晴らしい判断だと思います。

そして、かなり丁寧に話を聞き出し、それをしっかり記録しています。これも素晴らしいですね。これからもこの姿勢を維持してほしいと思います。

記載量も多く、しっかりと記録されています。内容的にこの程度の記載は必要なのではないでしょうか。この点もとても良いと思います。私が理事長を務める服薬ケア医療学会では、薬歴の勉強会を定期的に開催していますが、受講者のアンケートの中に「こんなにたくさん書けない。もっと簡潔に書くやり方を教えてくれ」的なご意見が必ず見受けられますが、記載の分量は内容によって変わります。しっかり話を聞けた場合は、当然記載量も多くなりますので、それを「もっと短く」と考えるのは間違っています。

この内容ならSOAPで構成した方が良いのでは?

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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