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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2023年10月26日 岡村 祐聡

簡潔な薬歴のためにはプロブレムを見つけることが必要

薬歴ビフォーアフターの画像1
お悩み

先生の「薬歴は薬剤師の医療記録である」というお話に感銘を受け、自分がその時何をしたのかがわかるような記録を書くようにしています。するとこのように結構な分量になってしまい、上司や会社からはいつも「書きすぎ。もっと簡潔に」と怒られます。でも私は納得いきません。医療行為を記録するには、これくらいの分量は仕方がないと思います。私が書いた薬歴を見てもらって、簡潔にできるところはあるでしょうか? ご指導いただきたいです。

(症例)
91歳の女性。便秘を毎回訴える。フェロクラデュメットの情報文書に「便秘」と書いてあったので、これ以上便秘がひどくなるのはイヤなので、たまにしか飲んでいないとのこと。本当にフェロクラデュメットで便秘になっているかどうかは不明。


〈処方〉
Rp. シタグリプチン25mg   1錠
  アムロジンOD錠 2.5mg 1錠
  フェロクラデュメット錠105mg 1錠
       分1 朝食後  14日分
Rp.マグミット錠330mg   2錠
  アミティーザ錠       2錠
       分2 朝夕食後 14日分
Rp.エスゾピクロン錠 1mg  1錠
       分1 寝る前  14日分

薬歴ビフォーアフターの画像

薬歴Before

S) 便秘がひどくてね、2日ぐらい出ない。マグミットとアミティーザを朝夕で飲んでいるけど固い。Drからはマグミットを6錠までは増やしてもいいと言われた。
赤い薬(フェロクラデュメット)は便秘になるので、飲まないようにしている。
青汁を飲んで、野菜ジュースをコップ2杯は飲むようにしている。
あと、なかなか寝付けない。
薬の使い方では特には困ってないよ。
O) 便秘気味だが、2日〜3日に1回は出ているようだ。
フェロクラデュメットは情報文書に「便秘」と書いてあったので、これ以上便秘がひどくなるとイヤなので、たまにしか飲んでいないとのこと。
便秘と寝つけなさが一番気になっている様子。
A) 2日~3日に1回は出て入るので、しばらくはアミティーザ、マグミットの継続になると考えられる。
今後マグミットが330mgを1日6錠までDrは増やせるとのことであるが用法、用量共に問題はない。
フェロクラデュメット錠による便秘のリスクは少ない。貧血による転倒リスクを考えると、服用をしたほうがよいのではないか?さらに、貧血が原因で不眠等にも影響している可能性もあるとやはり、服用をしたほうが良いと考えられる。
P) 2日~3日に1回、便は出ているので、しばらくはアミティーザ、マグミットの継続になる。鉄は吸収も悪いため、日常生活では小松菜、ほうれん草、大根の葉が良いことを説明し、小鉢1皿分食べると良いが、個人差もある。
2日~3日に1回は出ているので特には問題ないが、残便感や気持ち悪さがある場合は医師に相談してくださいと説明。ただ、腎臓等も特にDrから問題ありと指摘はされてない点から考えると、マグミットを6錠まで増やせるのと、今後もしかしたら増量はする可能性はあるかもしれないと説明。
食事での対策としては、ごぼう、さつまいも、山芋が良いが食べすぎるとお腹が張る可能性もあるため、無理のない範囲で摂取するよう説明した。
Pnext) 不眠、便秘の確認をお願いいたします。
薬歴ビフォーアフターの画像

「薬剤師の医療を記録する」という信念をもって薬歴を書くことは素晴らしい

ご自身が薬剤師としての医療に誇りをもって、「薬剤師の医療行為を記録する」と信念をもって薬歴を書かれていることは、とても素晴らしいと思います。これからもぜひ志を曲げずに頑張っていただきたいと思います。

会社からは「もっと簡潔に」と言われるということですが、それが「行った医療行為をすべて書くのではなく、適当に省いて記載分量を少なくせよ」という意味なら間違っています。ただ、私の目から見ても、記載が煩雑でもっと簡潔に書けるように思えます。まずは正しい意味での簡潔な薬歴を目指してみませんか?

プロブレムを見つけることを意識する

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年には、服薬ケアを学ぶ全国の有志で設立された「服薬ケア研究会」から要請を受け、会頭に就任。最新著書は「10日間で極意をつかむ選ばれるかかりつけ薬剤師になる 患者応対技術と服薬ケアコミュニケーション」(診断と治療社)。書籍の詳細は服薬ケア研究所のホームページを参照。
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