薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2023年12月1日 岡村 祐聡

「Aの根拠がOに必要」を意識するには?

「Aの根拠がOに必要」を意識するには?のメイン画像1
お悩み

いつも勉強させてもらっています。今回はオーグメンチンが溶けにくいというお話から、簡易懸濁法の手技についてプロブレムを立てました。自分としてはうまく書けたと思うのですが、どうでしょうか。ご教授ください。

(症例)
82歳男性。体重45kg。簡易懸濁法で投与中の患者さんです。お薬の懸濁は奥様(70歳)が行なっています。


〈処方〉

Rp.タケキャブ錠10mg 1錠  1日1回 朝食後 7日分
Rp.ロキソニン錠60mg 3錠
  カルボシステインDs50% 3g
  オーグメンチン配合錠250RS 3錠  1日3回 毎食後 7日分
Rp.カロナール錠500 4錠  1日4回 毎食後・寝る前 7日分
Rp.フェントステープ0.5mg 7枚  1日1回 1枚 貼付

Rp.タケキャブ錠10mg    1錠
   1日1回 朝食後 7日分
Rp.ロキソニン錠60mg     3錠
 カルボシステインDs50%   3g
 オーグメンチン配合錠250RS 3錠
   1日3回 毎食後 7日分
Rp.カロナール錠500     4錠
   1日4回 毎食後・寝る前 7日分
Rp.フェントステープ0.5mg   7枚
   1日1回 1枚 貼付   


「Aの根拠がOに必要」を意識するには?の画像1

薬歴Before

 (奥様に投薬)
#1 簡易懸濁法支援

S) オーグメンチンがなかなか溶けない。
O) オーグメンチンはフィルムコート。
A) 溶かす温度が低い可能性あり。
EP) パンフレットを使用し、オーグメンチンのようにフィルムコートされ溶けにくいものはハンマーなどでヒビを入れてから溶かすと溶けやすい。また、お湯の温度は55度と高めのためポットのお湯と水道水を2:1にすると簡単であること説明。
OP) 次回、簡易懸濁法による投薬の状況確認。
「Aの根拠がOに必要」を意識するには?の画像2

アセスメントの根拠(証拠)となるO情報がない

ご本人としては、よくできたおつもりのようですが、そもそもSOAPの基本である、「Aの根拠がO」という基本中の基本が守られていないようですね。それにPに関しても、「Oを踏まえてAと判断し、その結果Pの指導をする」というSOAPの基本ができていません。

例えば「フィルムコート」というOはあります。しかし、Pに「フィルムコートされ溶けにくいものはハンマーなどでヒビを入れてから溶かすと溶けやすい」という対応するPがありますが、Aはありません。

また、Pの「お湯の温度は55度と高めのためポットのお湯と水道水を2:1にすると簡単であること説明」に対応するAはありますが、Oがありません。

「SOAPで考える」という基本的な思考ができていないように思われます。

まずは「Aの根拠がOに必要」を意識しましょう

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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