特に問題がない疼痛管理の患者さんの薬歴は?
がんの疼痛管理をしている患者さんで、今は穏やかでこの処方で痛みはほとんど訴えないそうです。特に問題がないのですが、こんな薬歴で良いでしょうか?
(症例)
82歳男性。2年前肝臓がんで手術。今年、肺、胃等に再発するも、手術不能ということで、現在は疼痛管理のみ。トイレには自分で行くが、ほぼベッドで寝て過ごしている。週1回在宅訪問中。
〈処方〉
Rp.スインプロイク錠0.2mg 1錠
タケキャブ錠10mg 1錠
1日1回 朝食後
Rp.ロキソニン錠60mg 3錠
ビオスリー配合散 3g
1日3回 毎食後
Rp.カロナール錠500 4錠
1日4回 毎食後・寝る前
Rp.フェントステープ0.5mg 7枚
1日1回 1枚 貼付
7日分
薬歴Before
# 痛みのコントロール
S) | 奥様より本人から痛みなどほとんどないと聞いている。 |
O) | フェントステープ0.5mg、カロナール錠500、ロキソニン錠60mg |
A) | 現在使用されている痛み止めでコントロールされていると判断。 今後の痛みのコントロールを考え、痛みの日記をつけていただくことは有用と思われる。 |
P) | 今後の薬の使用の判断材料になるため、痛みの日記に痛みの状況、便秘などの体調を記載していただくよう説明。 |
「Aの根拠がO」を忘れずに
いつも申し上げておりますが、「Aの根拠、理由がO」です。Aに関係のない事実をOに書き込んである薬歴をよく見かけますが、それは間違いです。そもそもSOAPは「プロブレム毎に」立てるもので、そのプロブレムに関係のないことを混ぜ込んではいけません。事実だからと言って、Aに関係のないことをOに書かないように気をつけましょう。
このSOAPのOには、現在処方されている痛み止めの薬が列挙されていますが、これは「現在使用されている痛み止めでコントロールされている」ことの根拠ではありません。ただ、処方薬を列挙しただけです。Oにはなぜ「コントロールされている」と判断したのか、その根拠を書かなければなりません。
そしてSも、その判断(A)を補強する、またはそのプロブレムに気がついたきっかけとなる患者さん(またはご家族)の主訴を書きます。