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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2024年2月16日 岡村 祐聡

書くことが多すぎる薬歴にはクラスタリングをしよう

書くことが多すぎる薬歴にはクラスタリングをしようのメイン画像1
お悩み

患者さんはもともと処方されていた薬を飲みたいという希望をお持ちですが、医師からはダメと言われ「手持ちの薬を飲んでいいか?」と質問されました。事情がわかるようにもろもろ書き込むと、このように薬歴が膨大な量になってしまいました。どうすれば簡潔に書けるでしょうか?

(症例)
67歳女性。4年前に心筋梗塞で基幹病院へ入院。現在はかかりつけ医を受診しながら年に1回基幹病院を受診。主治医からは太らないよう言われ退院し、1年後には目標体重55kgを達成。散歩も欠かさず、間食もせず、食事も炭水化物を減らして頑張っている。
梅雨のころに、陰部に痒みを感じるようになってしまったのでカナグリフロジンを中止。その後HbA1cと体重がジワジワ上がり始め、本人の懇願でカナグリフロジンを再処方したが、すぐに痒みがぶり返し中止した経緯がある。


(今日の処方薬)
Rp.キャブピリン配合錠[アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩] 1錠

  ロスバスタチン口腔内崩壊錠5㎎             1錠
  ロスーゼット配合錠HD[エゼチミブ/ロスバスタチン]    1錠
  カルベジロール錠10㎎             0.5錠
  テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物20㎎         1錠
  メトホルミン塩酸塩錠250㎎             1錠
     1日1回 朝食後  14日分

書くことが多すぎる薬歴にはクラスタリングをしようの画像1

薬歴Before

# 早く薬を戻したい。手持ちの薬を飲み始めていい?

S) 12月には、基幹病院へ受診しなければいけないので、今日にでもカナグリフロジンを出してもらいたかったのに「少なくとも今月末まではこのままでいきましょう」と言われてしまった。とにかく薬を早く元に戻したい。このままでは基幹病院に行ったときに先生に叱られる。大体、前の薬(カナグリフロジン)は基幹病院で2年ほど飲んでも何ともなかったのだから飲めないはずがないと思うのよ。痒みは、薬のせいではないと思うわ。手持ちの薬があまっているので、それを飲み始めてもいいかしら?
O) 食事や運動は頑張って継続されている。基幹病院の受信日は、これから予約を取るのでまだ決まっていない。梅雨のころに、陰部に痒みを感じるようになってしまったのでカナグリフロジンを中止。その後HbA1cと体重がジワジワ上がり始め、本人の懇願でカナグリフロジンを再処方したが、すぐに痒みがぶり返し中止した経緯がある。
現在、体重は目標より4Kg増えて、59kg。HbA1cが7.2%に上がっていた。
先生は、今月(10月)中は、このままの薬でいくようにと説明されている。
A) カナグリフロジンを一度戻したら痒みが再燃したので薬の影響がないとは言い切れない。先生は、気温の影響を考慮されているのかもしれないから、まだ日中は暑いので勝手に服用を再開することは止めた方が良い。基幹病院の受診は、2カ月後でも大丈夫とのこと。それまでに体重もHbA1cも落としておきたいということらしい。
P) せっかくここまで気持ちを維持して食事や運動を頑張ってこられたので基幹病院の先生に叱られるのは本意ではないですよね。
でも、先生は、蒸し暑くなってからの症状であったので、まだ気温が日中に高いことを考えてくださっていると思います。
焦る気持ちはわかりますが、もう少し頑張ってみましょう。
運動や食事に気をつけてきているのですから、薬を元に戻せば、案外体重は1、2カ月ですーっと落ちるはずです。この薬とは相性が悪いため、血圧が下がりすぎる方向に働く可能性があります。
書くことが多すぎる薬歴にはクラスタリングをしようの画像2

薬歴にはある程度の分量が必要だと割り切ろう

なるほど。たしかに薬歴が長いですね。読むのが大変です。ただ、私は多くの方が漠然と考える「簡潔な薬歴」は、短すぎるのではないかと思います。よくわかるようにしっかりと記載すれば、それなりの分量にはなってしまいます。まずは、「薬歴はある程度しっかり書くことが正解である」と割り切ることも大事かなと思います。

とはいえ、あまり長い記録は読むのも大変ですし、書くもの時間がかかります。「少しでも簡潔に」と常に意識していることは、とても良いことだと思います。

では、どうしたら良いのでしょうか?

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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