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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2024年9月30日 岡村 祐聡

SOAPのAで「SEあり」としているが、薬歴に情報が全くない。どう判断した?

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お悩み

粉薬が飲めない患者さんに対して、カプセルへの充填を提案して患者さんには喜ばれました。こんな薬歴で良いでしょうか?

(症例)
女性 72歳。
当初アスパラカリウム錠が処方されていたが、入手困難なため、アスパラカリウム散へ問合せにより処方変更。「この患者さんは散剤が飲めない」ため、市販のカプセルに充填することを提案すると「本人がそれで良いなら変更可」との返事。


〈処方〉

イスコチン錠100mg  1日2錠朝2錠 朝食前服用
リファンピシンカプセル150mg  1日3カプセル朝3カプセル 朝食前服用
ピリドキサール錠10mg  1日3錠朝3錠 朝食前服用
アスパラカリウム散50%  1日9g朝3g 昼3g 夕3g 毎食後服用
28日分

〈処方〉
イスコチン錠100mg
 1日2錠朝2錠 朝食前服用
リファンピシンカプセル150mg
 1日3カプセル朝3カプセル朝食前服用
ピリドキサール錠10mg
 1日3錠朝3錠 朝食前服用
アスパラカリウム散50%
 1日9g朝3g昼3g夕3g毎食後服用
             28日分

薬歴ビフォーアフターの画像

薬歴Before

S) ・病院で塩化カリウム徐放錠の採用がなく、アスパラカリウム錠にての処方だったが流通停止品目のため、アスパラカリウム散に変更。
→散剤は飲めないとのことで空カプセルへの充填提案。
⇒アスパラカリウム散(カプセルに充填)でお渡し。
A) 入院中にリファンピシンで好中球減少のSEあり。
P) すぐにカプセル充填できないので、ご主人にアスパラカリウム散以外のお薬を一包化して先にお渡し。
同日18:30頃アスパラカリウム散(カプセル)ご自宅にお届け※空カプセルが足りず、4日分しか作れず。
【翌日】 アスパラカリウム散残りをカプセルに充填してお届け。
◆疑義照会◆
・TELにて処方医に問い合わせ
アスパラカリウム錠300mg流通停止品のため、在庫なし。同成分のアスパラカリウム散に変更できないか?
→Pt.が散剤は服用不可とDr.より話あり。カプセルに充填してお渡しするのは?
→Pt.の同意得られ、
アスパラカリウム錠300mg15錠分3毎食後21日分→アスパラカリウム散50%9g分3毎食後変更。Dr.確認済み。
薬歴ビフォーアフターの画像

薬歴の書き方で「入院中にリファンピシンで好中球減少のSEあり」はアセスメントではない

Aには「入院中にリファンピシンで好中球減少のSEあり」とありますが、これはアセスメントではありませんね。そもそもアセスメントとは「薬剤師が医療者として判断したこと」です。副作用があったと判断したなら、どんな副作用がいつあったのか、それがO情報に書かれていなければなりません。

そもそも、薬歴記載の全体は、「アスパラカリウム錠がないから散に変更したが、本人が散剤を飲めないからカプセルに充填した」ということしか書かれていません。だとするとSEの話はプロブレムとは全く関係のない話ですから、記載が必要ならSOAPの外に箇条書きで記載しましょう。

薬歴はSOAPのプロブレムを意識しよう

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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