急いでいて話せなかった患者さんの薬歴の書き方、SOAPはこれで良いですか?
今回の患者さんはとても急いでいるようで、パルプロ酸がないことだけ話題にしました。情報不足です。こんな時はどういう薬歴を書けば良いでしょうか?
(症例)
女性 32歳。病名は不明。いつもイライラしている様子。今日もイライラしている。
いつも出ている薬でバルプロ酸が今日は処方されていなかったことに気付き、それだけを聞く。残薬があり処方をお休みしてもらったとのこと。他の話は全くできなかったので、この点をプロブレムとしてとりあげた。
〈処方〉
アリピプラゾール錠3mg 1錠
エチゾラム錠1mg 1錠 分1 就寝前
トリンテリックス錠10mg 1錠 分1 夕食後
28日分
他に、
バルプロ酸徐放錠200mgを1回1錠 1日3回 朝・夕食後・就寝前、
レバミピド錠100mg 3錠 分3 毎食後(前回より処方)で服用中。
薬歴Before
# バルプロ酸はちゃんと飲んだ方が良いのではないか。食事にこだわらず起床時でもOKと理解できれば飲み忘れは減るのではないか。
S) | レバミピド錠は飲んでも夕方吐き気が出ます。 バルプロ酸は余っているので今回処方なしにしてもらいました。 |
O) | 忙しいため、朝食後のバルプロ酸は飲み忘れることが多い。 |
A) | バルプロ酸はちゃんと飲んだ方が良いのではないか。食事にこだわらず起床時でもOKと理解できれば飲み忘れは減るのではないか。 |
P) | バルプロ酸は食事関係ないので起床時に飲んでも良い薬です。 |
S₂) | そうなの?それなら飲めそう。ありがとうございます、と笑顔。 |
Pnext) | バルプロ酸は起床時に飲んでいるか?飲むことにより体調安定しているかを確認。 |
SOAP、薬歴の書き方は完璧です。直すところはありません。
ご本人は情報不足とおっしゃっていますが、患者さんが急いでいてゆっくり話せない中で、バルプロ酸が処方されていないことに気付き、わずかな持ち時間で「それは食後でないといけないと思っているのではないか」と推測して「起床時でもOK」と指導しています。完璧ですね。これがプロブレムを抽出できた時の模範的な服薬指導です。
御本人によると「30秒~40秒くらいしか話せていない」ということでしたが、そんなわずかな時間で、きちんとプロブレムを抽出し、そのプロブレムを解決しています。まさに「POSの利点をしっかりと生かした服薬指導」といえるでしょう。
患者さんがお急ぎであるという状況の中での服薬指導としては、100点満点ではないでしょうか。