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薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2024年11月12日 岡村 祐聡

薬歴のSOAPはプロブレムを構成するためのものであることを忘れずに

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お悩み

うちの薬局では薬歴を必ずSOAPで書くよう言われています。今回は、初回の患者さんの薬歴をなんとかSOAPにしてみました。ちゃんとSOAPになっていると思うのですが、これではダメでしょうか?

(症例)
30代女性。会社の健康診断で貧血を指摘され、受診。以前から何度も同じ指摘を受け飛び飛びではあるが何年も飲んでいる薬。


〈処方〉
フェロミア錠50㎎  2錠  1日1回朝食後 30日分

薬歴ビフォーアフターの画像

薬歴Before

S) 検診のたびに貧血が指摘されて、おなじ薬が処方されていた。特に貧血としての自覚症状は感じたことはない。
O) 朝はコーヒーだけで食事はしない。薬は起床時に服用していた。特に不具合は感じていなかった。
A) 体の負担になってなければ良いです。
P) 貧血状態が続くことで、体のだるさ、疲れ、息切れなどおこすことがあります。しばらく服用で症状の改善、あるいは体調変化を見てください。
薬歴ビフォーアフターの画像

一見きちんとSOAPが構成されているように見えるが…

きっとこの薬剤師さんは、「SOAPで書かなければいけない」という職場のルールで、長年このような薬歴を書き続けてきたのでしょう。一見ちゃんとSOAPになっているように見えますが、初回服薬指導ということで、P(プロブレム)にはそれらしき指導内容が記載されていますが、S、O、A、はPとは全く違う内容が書かれていますね。これではSOAPになっていません。

そもそも「初回」なのに、過去の服用状況がアセスメントされているのでしょうか。その理由はSに書いてありますが、いつ頃からどのくらいの期間この薬を飲んでいて、どうだったのか、そのあたりの記載がまるでないですね。著しい情報不足ですね。

聞くと、高校の頃から健康診断のたびに貧血を指摘されており、その直後は病院に行くけれど、やがていかなくなると繰り返していたのだとか。たまたま食生活の話になり、「朝食は食べない」と聞いて服用が朝食後なのにどうしているのか気になり聞いてみたら、「起床時に飲んでいる」とのこと。聞くと胃腸障害などはないそうなので、ちゃんと飲んでいるならいいかなと考え、その点をSOAPに取り上げたということでした。

薬歴とは、薬剤師の医療記録であり、薬剤師の医療行為である服薬指導が記録されていなければなりません。

この時この話題について薬剤師が確認したことは、「朝食後ではなく、起床時に薬を飲んでいるが、胃腸障害等はない」ということだけだと思います。これは薬剤師としてのアセスメント云々というより、ただ単に「食事しないで薬を飲んでいるけど胃腸障害はない」という事実を確認したに過ぎないのではないでしょうか。

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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