薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2025年2月26日 岡村 祐聡

圧倒的に情報不足な薬歴なのでもっと踏み込んで状況を把握しよう

圧倒的に情報不足な薬歴なのでもっと踏み込んで状況を把握しようのメイン画像
お悩み

低血糖症状を示した患者さんです。薬歴のSOAPはうまくまとめられたと思うのですが、どうでしょうか?

(症例)
50歳 女性。糖尿病、高血圧で毎月病院を受診。他科受診・併用薬はなし。


〈処方〉
カルブロック錠8mg 1T
ゼチーア錠10mg 1T  1日1回 朝食後 28日分
リベルサス錠7mg 1T  1日1回 起床時 28日分

薬歴ビフォーアフターの画像

薬歴Before

S) ふらつくような症状が2回ほどあった。そういうときはどうしたらいいの?
O) リベルサス錠7mを服用中。服用による低血糖症状か。
A) 低血糖時の対処方法を説明必要。ひどい場合は病院受診をするようお伝え。
P) ふらつき等が起きた際は、飴やジュースなどの糖質を摂取して様子を見てください。飴は日ごろから携帯するとよいです。症状が続く場合は、病院を受診しましょう。次回、低血糖症状の有無を確認。
薬歴ビフォーアフターの画像

「はずした服薬指導」の典型で、圧倒的な情報不足の薬歴!

低血糖症状らしいというのはその通りですが、その話は医師には話しているのでしょうか? そして医師はなんと言ったのでしょうか? 血圧の話が一切ありませんが、低血圧ということはないのでしょうか? もっとお話を聞かないと、低血糖と決めつけることはできないと思います。

GLP-1作動薬は基本的には低血糖を起こしにくい薬です。だとすると、もし本当に低血糖を起こしたのであるならば、食事の状況など他に何か注意しなければならなかったことはなかったのでしょうか? それらについては何も聞きだしておらず、ただ表面的な低血糖の注意点を述べているだけに見えます。起きていない低血糖への注意ならともかく、実際に低血糖を起こしているのに、そもそもその時どう対処したのかすら聞いていませんが,それで良いのでしょうか?

圧倒的な情報不足であり、服薬指導の内容が不足しています。「はずした服薬指導」の典型と言えるでしょう。薬歴の記載云々の前に、薬剤師としての医療というものを、もう一度きちんと学んでほしいと思います。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

岡村 祐聡の画像

岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

キーワード一覧

薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

アセスメント 医薬品情報・DI 調剤報酬改定 do処方 服薬指導 派遣薬剤師 ハイリスク薬 漢方 薬局経営 薬物療法