クラスタリングの意識で「SOAP」の薬歴はぐっと良くなる

最近はクラスタリングを意識するようになりました。他にもお話はしたのですが、患者さんから開口一番「体重が減る薬は入っている?」と質問があったので、そのあたりをプロブレムとして取り上げてみました。プロブレムの取り上げ方やSOAPはこれで大丈夫でしょうか
(症例)
78歳 男性。
〈処方〉
キャブピリン配合錠 1錠
イルアミクス配合錠HD 1錠
ロスバスタチン錠5㎎ 1錠
カルベジロール錠10㎎ 0.5錠
トラディアンス配合錠AP 1錠
1日1回朝食後 28日分

薬歴Before
プロブレム:体重が減る薬(エンパグリフロジンのこと)が入っていれば体重が増えないという考えを改めてもらい、体重を増やさないように日々の生活に気をつけてもらいたい。
S) | 「お薬の中に体重が減る薬は入っている?」 最近、自分でも少し体重が増えたのではないかと気になり始めていたところに、近所の人から「最近ちょっとまたふっくらした?」って言われた。 |
O) | 今の体重は怖くて測れない。 体重が減る薬が入ってすぐに体重が減ってからはずっと体重が維持できていたので飲んでいれば増えないように抑えてくれると思っていた。 周囲に分かるくらい体重が増えているとしたら、体重が減る薬がいつの間にか減らされていたのではないかと気になっていた。 |
A) | 体重が減る薬(エンパグリフロジン)が入っていれば体重が増えないという考えを改めてもらい、体重を増やさないように日々の生活に気をつけてもらいたい。 それが、血糖値やコレステロールの数値改善にもつながっていくので、ぜひ頑張ってもらいたい。 |
P) | 体重が減る薬(エンパグリフロジン)を飲んでいても、お薬の力を借りて減るのは、お薬が追加された当初のみです。その後は、ご自身で体重を増やさないように日々の生活に気を付け頑張っていく必要があります。 |
Pnext) | 最近食べ過ぎだなと思うことが増えていたとおっしゃっていたので、そこを改善してもらうように話をした。次回、食生活の改善ができたか?を伺ってください。 |

SOAPのバランスがすばらしい薬歴です!
クラスタリングについて意識されているという言葉もありましたが、しっかりとクラスタリングされ、SOAPのバランスをバッチリで、素晴らしい薬歴です。ほぼ直すところはありません。
特に患者さんから質問があった場合はプロブレムとして取り上げられるケースが多いという点については以前にも触れていると思いますが、きちんとそこに着目して、しっかりと掘り下げています。
そしてそのきっかけとなった「お薬の中に体重が減る薬は入っている?」という患者さんの言葉をそのまま記載しているのも、とても良いことです。この言葉をきっかけに薬剤師がどのように判断して、どのような情報を聞き出していったのかが、よくわかります。
次の書籍に良い薬歴の見本として掲載させてほしいくらいですね。