薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2025年5月29日 岡村 祐聡

良い対応でも必要な情報が足りない薬歴記載の例

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お悩み

患者さんに服薬指導をしていると「なぜか薬が余っている(残薬がある)」と言います。今回は医師の指示で処方薬の一部がなくなっていました。患者さんからいろいろ話を聞いて、実は薬が足りないことがわかり、医師に問い合わせをして、今回はいつも通りの処方薬に戻してもらいました。薬剤師として良い応対ができたと思います。

(患者)
45歳 女性。皮膚科にて手と頭皮の肌荒れで通院中。半年ほど前より、円形脱毛症で薬が増える。年末年始にかかるため処方は60日分。


(今日の処方)
レボセチリジン5mg 1日1回 1回1錠 60日分
セファランチン1mg 1日2回 1回1錠 60日分
デルモベート軟膏 10g 1日2-3回 手に塗布
アンテベートローション 30g 1日2-3回 頭部に塗布

  • いつもはこれ以外に、トラネキサム酸錠250mg1日4錠とグリチロン配合錠1日6錠があるが今回は処方がなかった。
薬歴ビフォーアフターの画像

薬歴Before

S) きちんと(グリチロン配合錠を)1回3錠で飲んでるんだけどね。なんでか多くあるのよ。
O) グリチロン配合錠とトラネキサム酸錠が両方とも1袋(100錠の袋)以上は手持ちにあったが細かい数までは覚えていない。薬は持参していない。
グリチロン配合錠は1日6錠のため、1袋であれば16日分ぐらいしか残っていない。それに対してトラネキサム酸は25日分ある。
A) 現状の手持ちの薬の数がなく詳細がわからないが、年末年始を控えており60日分の処方となっており、グリチロン配合錠とトラネキサム酸錠は足りないのではないか。今回は処方を出してもらって次回残薬調整をした方がいいだろう。
P) 毎日飲んでいるのに薬が残っているから今回は処方がなかったんですね。ただ1袋、100錠ぐらいだとグリチロン配合錠は2週間程度しかありません。トラネキサム酸は25日ぐらいしかありません。両方とも60日には足りません。今回はいつも通り薬をもらって次回薬を病院に持参していただいて調整していただいた方がいいのではないかと私は思うのですが、どうされますか?
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処方薬の欄は最終的な処方内容を記載

多くの薬歴ソフトは、レセプトデータと連携しているはずなので、実際の薬歴はちゃんとなっているのかもしれませんが、問い合わせをして処方薬を追加したのなら、処方薬の欄には、追加された最終的な処方薬、つまり実際に患者さんが持って帰った薬が記載されていなければなりません。

この書き方では「今日はなかった」と書いてあるだけですので、トラネキサム酸錠とグリチロン配合錠は処方されなかったことになってしまいます。

これでは正しい記録とは言えませんので、まずその点を指摘しておきたいと思います。

トラネキサム酸錠とグリチロン配合錠が処方されていない事実が薬歴に記録されていない

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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