患者さんから丁寧に伺い、記録することが薬歴の第一歩

皮膚科からの処方せんを持って患者さんが来局しました。患者さんから質問があったのでお答えしましたが、後から読み直してみると、この薬歴では患者さんの訴えなどが何もわからないと思いました。どのようにSOAPやプロブレムを使って薬歴を書けばいいでしょうか?
(患者)
46歳、女性。処方薬だとこまめに塗りにくいから市販のハンドクリームは何がおすすめか?と質問あり。
〈処方〉
フェキソフェナジン錠(60) 2T 2×朝夕食後14日分
ヒルドイドクリーム25g 1日数回 保湿
ネリゾナユニバーサルクリーム10g 1日数回 手

薬歴Before
S) | 処方薬では足りなくて。市販薬ってあります? |
O) | 他局Do 体調安定 |
A) | 処方量だと少なめ。日常生活では使いにくい? |
P) | 同じものにヘパリン、尿素、ワセリン、等があります。処方薬とは別にこまめに塗っても問題ないです。 |

圧倒的な情報不足の薬歴。もっと丁寧にお話を伺いましょう
薬歴を見ると「処方薬では足りなくて。市販薬ってあります?」としか書いてありませんが、口頭での説明では「処方薬だとこまめに塗りにくいから市販のハンドクリームは何がおすすめか?」ということで、ニュアンスが違います。結局この患者さんは何を質問したのでしょうか?
そしてそれに対する答えが「同じものにヘパリン,尿素、ワセリンがあります。処方薬とは別にこまめに塗っても問題ないです」と薬歴には記録されていますが、これで患者さんは納得したのでしょうか?
また、Oに書いてある「他局Do」とはどういう意味でしょうか? 想像する限り「他薬局で同じ処方の調剤を(前回?)受けている」という意味かなと想像しますが、ということは初来局なのでしょうか?
フェキソフェナジン錠が処方されていることから、蕁麻疹か何かなのでしょうか。だとすると、質問は今回の症状とは直接関係がなく、一般的な意味での「乾燥」に対するハンドクリームについての質問なのでしょうか。それならそれで、Aにある「処方量だと少なめ。日常生活では使いにくい?」は全く的外れなアセスメントですね。それともヒルドイドが足りない、もっと欲しいという訴えだったのでしょうか?
いずれにしろ圧倒的な情報不足ですね。そして実際に何があったのか全く分からない薬歴となっています。これではSOAP以前の問題として、医療記録としての体を為していないと言えるでしょう。