薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2025年8月22日 岡村 祐聡

朝食を食べず薬を服用しない患者さんへの指導と薬歴

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お悩み

歯が悪くなって朝食はほとんど食べなくなっているので朝食後の薬は飲んでいない。総入れ歯だが痩せて合わなくなってしまい、食べることが億劫になっている。先生からも「必ず薬は飲みなさい」と言われている。歯医者の受診を勧めても、「この年齢になればもうそんなに食べなくてもいいんだから行くつもりはない」と頑なに拒否します。どうしたら良いでしょうか?

(患者)
77歳。女性。いつもはリバロとサンリズムの他にアムロジピンOD錠5mgを1錠1日1回朝食後で処方されているが、たくさん余っているからと今日は処方なし。血圧が高いのにアムロジピンを飲んでいないということで「必ず飲みなさい」と先生に叱られてきた。本人は「朝ごはんは食べないからしょうがない。飲めない」とあきらめ顔。


〈処方〉
1.リバロOD錠2㎎     1錠
  サンリズムカプセル50㎎  1Cp  1日1回夕食後     28日分

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薬歴Before

# 朝の薬(アムロジピンOD錠5㎎)は朝食を食べなくても途中飲み物を飲む時や昼食後でもよいので飲んでもらおう。

S) 今日は、先生から血圧が高いと言われた。
最近、歯が悪くなって朝食はほとんど食べないので朝の薬(アムロジピン)は飲んでいない。
O) 今日の血圧は158/ 薬を飲んでいたときはずっと120台/だった。先生からはしっかり薬を継続するように言われている。昼は量は少ないが食べるし、飲み物は途中途中で飲んでいる。
A) 朝の薬は、血圧が上がっているので服用をする必要がある。
朝食を食べなくても途中、飲み物を飲む時でもよいし、昼食後でも良いので薬を飲んでもらおう。
P) 先生からもお話があったように血圧が上がっていますのでお薬は服用する必要があります。歯の具合が悪く、朝食は召し上がらないとのことですが、途中で飲み物を飲まれるときでも、昼食後でも良いので、服用をしましょう。
Pnext) 朝の薬は飲めているか? 飲めているなら、いつ飲まれるようにされているか? を確認してください。
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薬歴の問題というより「どう指導すべきか」というお悩みです

「どうしたらよいでしょうか?」ということですが、これは薬歴の問題というより、どのように指導すべきかというお悩みのようですね。

詳しく聞いてみると、ご本人としては「朝食後」と指示されたから飲めないと思い込んでいたようで、「それなら昼食後の指示に変えてもらったら?」と話したら「それでも良いんですか?」とのこと。薬が飲みたくないということではなかったようなので、服用時点を変更すれば問題解決しそうですね。次回来局した際に確認してみないと何とも言えませんが、「先生に話してみます」と言っていたということなので、解決したのではないでしょうか。薬剤師としてしっかり仕事をしていらっしゃいます。素晴らしいです。

SOAPの構成はきちんとできています

そしてSOAPですが、とても良く書けています。プロブレムもきちんと想定していますし、SOAPの構成もきちんとできています。プロブレムネームも良いですね。素晴らしい薬歴です。

ただ、「それなら昼食後の指示に変えてもらったら?」というあたりの話がどこにも書いていないですね。これはプロブレム解決のためのとても大切なところなので、これが抜けていると医療記録としての正確性が欠けてしまいます。これはぜひ書いてください。

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年に設立した「服薬ケア研究所」は、2021年に「一般社団法人服薬ケア医療学会」へと組織変更。理事長へと就任。薬剤師の医療の向上のため活動を続けている。

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