薬剤師が医師に問い合わせをした場合の薬歴の書き方

お悩み
薬剤師が医師に問い合わせをした症例です。薬歴の書き方はこれでよいでしょうか?
(患者)
62歳。女性。咳が続くため半年ほど受診。時たま熱も出るので医師に頼んで解熱剤を頓用で処方してもらっている。前回(2週間前)から肩こりを訴え、チザニジンが処方される。今日は肩こりが特にひどいと薬局で訴えたため、薬剤師が医師に問い合わせ、チザニジンを2錠に増やしてもらった。
(処方)
ビラノア錠20mg 1T 就寝前 14日分
ツムラ麦門冬湯 9g毎食前 14日分
チザニジン錠1mg 1T夕食後14日分
アンブロキソールOD錠45mg 1T夕食後14日分
クラリスロマイシン錠200mg 朝夕食後14日分
カルボシステイン錠500mg 毎食後14日分
カロナール錠500 頓服14回分
(疑義照会後)
チザニジン錠1mg 1T夕食後14日分→チザニジン錠1mg
2T夕食後14日分へ変更。

薬歴Before
S) | 肩こりがひどいの。がちがちで夜眠れないし、頭が痛い。外に出るのがしんどい。 |
O) | 患者様が肩こりがひどいと訴えるため、薬剤師が門前の医師にTELにて問い合わせ、チザニジン錠が1錠→2錠へ増量。 |
A) | 服用による眠気、眠気による転倒に注意するとともに、肩こり解消のための対策方法をいくつか提案した。 |
P) | 筋肉の緊張を和らげる作用のあるお薬が増量になりました。服用による眠気、転倒に注意しましょう。 服用前にトイレ等を済ませましょう。 肩こり解消方法として、血流をよくしたり、温めると効果があります。血流をよくする方法としては、肩を回したり腕を上下に動かすなどしてみてください。また、時間があれば散歩に出かけたり、簡単なストレッチをしてみてください。(首を傾けるなど。) 温める方法としては、温かいお風呂にしっかりつかりましょう。お風呂上りは水分補給をしっかり行ってください。寝る前も肩を回したりするとなお良いです。今は寒い時期で体が冷えやすいため、暖房を効かせておきましょう。体を冷やすと血流も悪くなりやすいので注意してください。 そのほか気になる症状がありましたら、いつでもご相談ください。 |
Pnext) | 次回、チザニジン増量による眠気の有無、服用による肩こり症状について確認。 |

医師に問い合わせをした場合の薬歴の3パターン
薬剤師が医師に問い合わせをした場合の薬歴は、主に3つのパターンがあります。
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(1) 薬剤師としての何らかの医療判断のもと問い合わせをした場合は、その判断した内容がアセスメントになりますので、それをAに書いてPに「問い合わせ」と書きます。
返事をもらうことで、そのプロブレム(問い合わせが必要と判断した事柄)が解決した(そこから新たなプロブレムが発生しない)なら、O2に医師からの返事を書いて、その結果の指導をP2に書きます。
もし問い合わせの結果により、全く別の新たなプロブレムが発生した場合は、それは別のプロブレムなので、「もう一つSOAPを立て、」SOAPは2つになります。 - (2) 問い合わせそのものに薬剤師としての判断は特になく、患者さんからの訴えによって医師に聞いてみたという場合です。その場合は、問い合わせした結果に対してなんらかの指導が必要だと判断される場合は、問い合わせした旨とその返事をOに書いて、薬剤師としての判断をAに書きます。
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(3) 問い合わせの経緯は前と同じで、問い合わせそのものに薬剤師としての判断が特にあるわけではなく、さらに、問い合わせそのものがプロブレムに関係ない場合はSOAP外に問い合わせした旨と、その結果(医師からの返事)を簡潔に箇条書きで記録します。
「プロブレムがない場合は全体を箇条書きにして、その一つに問い合わせの件を記録しましょう。」