薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~

更新日: 2019年6月21日 岡村 祐聡

何をかけば良い薬歴といえるのか?

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お悩み
何をどのように書けば良い薬歴といえるでしょうか
患者さんは6歳の男の子です。
いつも一緒に来るお母さんは、とても熱心に話を聞いて行きます。少しでも具合が悪かったり、咳や鼻が出るとすぐに病院に連れていくようです。
うちの薬局はSOAPでは書いていません。患者さんが訴えたことを主体に記載しています。保険指導の研修会で「やった仕事は必ず薬歴に書くように」と言われたので、わかりきったことも、いわば「指導した証拠」として記載しています。こんな薬歴で良いのでしょうか。それにそもそも何をかけば良い薬歴といえるのでしょうか?

[処方内容]

Rp1: アスベリン散10% 0.45g
プルスマリンAドライシロップ小児用1.5% 1g
ニポラジン小児用細粒0.6% 0.75g
1日2回 朝・夕食後 7日分
Rp2: ホクナリンテープ1mg 7枚
咳がひどいとき 1日1枚 貼付

 今回は、非常に根本的な疑問、「何を書けば良い薬歴になるか」についてお答えしたいと思います。

Before
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[薬歴]
  • 幼稚園へ行っている。
  • 熱が出て早退してきた。
  • 咳もあるが、まだひどくない。
  • 薬は前回Do
  • 今の体重に合わせて薬の量が増えている。
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SOAPで書くのではなく、SOAPで考える

 薬歴は「SOAPで書かなければいけない」という決まりはありません。要点がしっかりと書かれていれば、形式はどんな形式であっても全く問題ありません。しかし、私は薬剤師として患者さんを見たときに、薬剤師としてその患者さんに対してなすべきことは何なのか(これがプロブレムです)をS、O、A、Pの要素で考えることで、効率良く、短時間に質の高いケアをすることができると考えています。SOAPで考え、そのSOAPをそのまま薬歴に残すと一番手間がかかりませんので、薬歴もSOAPで記載した方が早く楽に書けると思います。実際に私のところで薬歴を勉強した薬剤師は、皆口をそろえて「SOAPで考えることができるようになると、薬歴を書くのがとても早くなった」と言っています。
つまり「SOAPで考える」思考回路をしっかりと身に付ければ、「SOAPで書いた方が楽」なので、薬歴もSOAPで書くことをお薦めしているのです。

良い薬歴のための大切なポイントは3つ

 私が良い薬歴と考えるのは、以下の点がわかりやすく、簡潔に書かれている薬歴です。

  1. 患者さんの様子がよくわかる。
  2. 薬剤師としてどんな判断をしたのかがよくわかる。
  3. 薬剤師が指導した内容が漏れなく、しかし簡潔に記載されている。

今回は元の薬歴を見ても、患者さんの様子はよくわかりませんし、薬剤師としてどんな指導をしたのか全く書かれていません。そして、その患者さんに対して薬剤師としてどんなケアが必要だと判断したのか、全くわかりません。残念ながらこれはあまり良い薬歴とはいえないでしょう。

解決!

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岡村 祐聡
おかむら まさとし

有限会社服薬ケア研究所所長。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業。
都内調剤薬局や調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年に『服薬ケア研究所』を設立。
「服薬ケア」理論を各地で提唱し続け、全国各地で開催される研修会や服薬セミナーなどでも精力的な活動を行っている。 2002年には、服薬ケアを学ぶ全国の有志で設立された「服薬ケア研究会」から要請を受け、会頭に就任。最新著書は「10日間で極意をつかむ選ばれるかかりつけ薬剤師になる 患者応対技術と服薬ケアコミュニケーション」(診断と治療社)。書籍の詳細は服薬ケア研究所のホームページを参照。
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