薬剤師ならではのアセスメントで不安を解消
副作用の心配をしている患者さんに対する服薬指導と薬歴です。自分としてはうまくSOAPのプロブレムを抽出できたと思うのですが、どうでしょうか?
(患者)
56歳。女性。メンタルクリニックの処方だが、疾患名は不明。病名、診断、医師からの説明などは、聞いてもあまり話してくれない。質問があるときや不安な気持ちなどについては、わりと話してくれる。
(処方)
ミルタザピン錠15mg 1錠 分1就寝前 28日分
デエビゴ錠5mg 1錠 分1就寝前 28日分
ベンザリン錠2mg 2錠 分1就寝前 28日分
酸化マグネシウム錠250mg 1錠 分1就寝前 28日分

薬歴Before
| S) | 抗うつ薬を長く飲んでいると副作用が起こるのではと心配です。 |
| O) | 以前リスパダールを5~6年飲んでパーキンソン症候群が起きアキネトンを併用して改善。抗うつ薬を長く飲んだら体に悪いのではと不安な様子 |
| A) | ミルタザピンとリスパダールは作用機序が異なるので長期でも副作用が少ないと理解すれば安心するのでは。 |
| P) | リスパダールはドパミンという物質の作用を抑える作用があり、継続して飲むとパーキンソン症候群を起こすことがあります。ミルタザピンは全身の体の動きに作用する箇所には作用しにくいので、長期で飲んでも比較的安全です。 |
| S₂) | そうなのですね、と安心した様子。 |
| Pnext) | 不安なく飲んでいるか確認 |
- 前回ベンザリン減量。減量後も寝付きよく眠れるとのこと
- サラダ、さつまいもなど食物繊維を多く摂るようにしており便通良好

薬剤師らしい明確なアセスメントがわかりやすい
この薬歴は、何しろアセスメントが良いですね。リスパダールで副作用が起きた過去の経験からミルタザピンを長く飲まない方が良いのではないかと不安になり、薬剤師に相談してくださったことに対して、「作用機序が異なるため、リスパダールとは違う。それをわかってもらえれば安心していただけるのではないか」という、薬剤師らしい明確なアセスメントでプロブレムを抽出しています。
もちろん、たまたま質問してくださったことが、「これならうまく説明できる」と思える内容だったわけですが、それでも何をどうアセスメントすれば良いのか、よく理解されていると思います。