無理にSOAPで記載するのは無駄な記述を生む
このページで薬歴の書き方の勉強をさせてもらい、SOAP、OとAの関係などが、少しわかってきました。この薬歴はどうでしょうか。添削をお願いします。
(患者)
64歳。女性。普段は、桂枝茯苓丸料加薏苡仁、当帰飲子、花粉症でフェキソフェナジンを飲んでいる。今回眠れないということで受診。ゾルピデムが初めて処方された。
(今日の処方)
ゾルピデム10mg 1T 分1 寝る前 14 日分

薬歴Before
| S) | 眠れないんです。いつも飲んでいる漢方とかフェキソフェナジンと一緒に飲んで大丈夫ですか? |
| O) | 昨年介護をしていた母が亡くなって頭に浮かんで寝付けないとのこと。今年に入って坐骨神経痛等痛みが悪化。Dr.よりきちんと休むことと、薬が出た。漢方、フェキソフェナジンと併用。睡眠薬は初めて。 |
| A) | 睡眠がとれておらず悪化。服用で様子見。 |
| P) | 寝つきをよくする薬。痛みを改善するためにも薬の力を借りつつ休んでください。飲まなくても眠くなれば飲まないで寝てしまってもOKです。漢方や花粉症の薬と一緒に飲んでも問題ないです。いつもの薬もきちんと続けてください。 |

2つの話題が混ざっている
まず一読して、「眠れないと受診したら睡眠薬が処方された」ということと「この薬はいつもの薬と一緒に飲んで大丈夫?」と質問された件の、明らかに2つの話題が混ざっていますね。それぞれがプロブレムとして成り立つならば、クラスタリングが必要ということになります。
アセスメントを見てみましょう。「睡眠とれておらず悪化。服用で様子見」とありますが、いったいこれは薬剤師の医療行為として、どんな判断をしたのでしょうか? 実際には結構長い時間話し込まれていったということなので、患者さんのお辛い気持ちは担当薬剤師には伝わったのだと思いますが、薬歴を読む限りその辛さは伝わってきません。前半の「睡眠とれておらず悪化」は事実であり、考えたことではありませんから、これはアセスメントではありません。後半の「服用で様子見」というのも、薬剤師としては何も判断していませんね。つまり、これは、プロブレムとしては成立していないと思われます。
もう一つの「フェキソフェナジンといつもの薬は一緒に飲んで大丈夫か?」という話題は、即答で「大丈夫です」と答えているようなので、これもプロブレムとしては成立していませんね。患者さんとしてはこれもかなり心配な様子だったとか。でもそれも薬歴からは感じられません。
結局、そもそもSOAPで書くことが間違いだったということになります。自分としては何も判断していないので、何かそれらしいことを無理やり書いておくAは無駄でしかありません。こういう場合はSOAPを外して箇条書きで書いた方がスッキリすると思います。