在宅医療における薬剤師の役割

第5回 患者さんとの関係性の築き方

 在宅医療における薬剤師の関わり方を考える連載企画の第5回。今回も在宅専門の薬局・フロンティアファーマシーの前田桂吾氏が在宅医療の問題点を浮き彫りにします。テーマは「患者さんとの関係性の築き方」です。


目の前の患者さんの生活を支える視点を持つ

 突然ですが、皆さんには信頼できる主治医の先生はいらっしゃいますか?もしいらっしゃるのであれば、その医師を信頼しているのはどういった理由でしょうか?
 第1回で書いた通り、私は10歳で潰瘍性大腸炎を発病し、その後入院するたびに主治医が変わっていたため、今までたくさんの先生方に面倒を見ていただきました。発病して3年後に手術をしてからは、20年以上同じ先生に診ていただいています。受診の際はその先生に、病気の事をそっちのけで、大学の受験も、就職も、就職してからの悩みも、結婚も、子供の事も全部話してきました。結婚披露宴にも来ていただきました。それだけ先生のことを信頼しているのです。
 今でも年に2回くらいは定期通院をしているのですが、受診の際には故郷に帰るような、なんだか温かい気分になります。それはなぜか?
 先生は、いつも笑顔で、病気というよりも、私の生活を支える視点でさまざまな話を聞いてくださいます。私が苦しい胸の内を話せば、一緒になって辛そうに話を聞いてくれたり、うれしい話をすれば一緒になって喜んでくれます。私はこの主治医の先生に、自分の人生を丸ごと支えていただいているような気持ちを抱いています。これがまさに「かかりつけ」なのではないかと思います。
 また主治医の先生以外にも、入院中に病棟の他の先生方や看護師さんの大半が、一生懸命僕の心配をし、支えてくださっていた気がします。つまり私のことに興味を持ち、心配をし、向き合ってくださっていた気がするのです。
 そのような経験から、私は自分が病気だったときの気持ちを忘れないように患者さんに接し「目の前の患者さんの生活を支える視点」を大事にしています。また、自分が患者さんに説明しているとき、瞬間的に自分がベ…

更新日: 2016年12月15日

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