「アモキシシリン」で副鼻腔炎が治らない!患者に処方される抗菌薬とは?
急性副鼻腔炎の多くはウイルス性で抗菌薬は不要です。しかし、細菌性副鼻腔炎に対しては的確な抗菌薬選択が求められます。基本はアモキシシリンですが、中にはセフトリアキソンの点滴静注を要する重篤なケースも潜んでいます。今回は、服薬指導にも役立つこの重要な「使い分け」の根拠について解説します
本日の患者背景:細菌性副鼻腔炎で「アモキシシリン」が処方されたが病状が回復しない男性
48歳男性。基礎疾患はないが喫煙歴あり。10日前から咳や鼻汁など感冒様症状がみられた。3日前から発熱と右頬部痛、膿性鼻汁となり近医を受診した。
細菌性副鼻腔炎の診断で「アモキシシリン」を処方された。アモキシシリンを3日間内服後も症状が続くため再診した。来院時38度台の発熱と、右頬部に圧痛と叩打痛を認めた。
発熱と頬部痛のため内服が困難である。血液検査で白血球とCRP高値を認め、副鼻腔X線検査とCT検査で右上顎洞部に著明な液面形成を伴う陰影を認めた。
クイズ:どの抗菌薬を処方するのが正しい?
本日の患者さんに処方する抗菌薬として適切なものを、①~③から選んでください。
- クラリスロマイシン内服
- レボフロキサシン内服
- セフトリアキソン点滴
山口医師が解説! 細菌性副鼻腔炎患者になぜこの抗菌薬が処方された?
① 症状が重度
副鼻腔炎にとどまらない以下のような重症化の徴候があれば、経口薬では効果不十分なリスクがあり、初期からセフトリアキソン使用を考慮します。
- 全身症状:39度以上の発熱、頻脈、頻呼吸など全身に炎症が波及していることを示唆する所見がある。
- 初期治療不応:「アモキシシリン」を48~72時間投与しても、症状の改善がなく悪化している場合。
② 合併症が疑われる
副鼻腔の感染が周囲の臓器へ波及した場合、緊急性が高くセフトリアキソン投与の適応です。
- 眼窩合併症:眼窩蜂窩織炎や眼窩膿瘍が該当します。
- 頭蓋内合併症:硬膜外膿瘍や硬膜下膿瘍、脳膿瘍、髄膜炎などが該当します。
このような合併症が疑われれば、髄液移行性に優れたセフトリアキソンを使用します。