薬剤師のバイブル!病気とくすりのキホン

更新日: 2024年12月27日 杏 優花

糖尿病の薬②薬剤の選ぶ5つのポイントとは?

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前回の記事では、経口の糖尿病治療薬について、分類ごとの特徴や注意点をお伝えしましたが、「各薬剤の特徴は理解できたけれど、数多くある糖尿病治療薬の中から、処方医はどのように薬剤を選択しているのだろう」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

糖尿病の治療では、各薬剤の特徴を理解したうえで、患者さん個々の病態や患者背景を考慮し、適切な薬剤を選択していきます。今回は、糖尿病治療薬の選び方に焦点をあて、ポイントをわかりやすく解説します。

糖尿病治療の目標とは?1)2)

糖尿病治療の目標は、糖尿病のない人と変わらない生活の質(QOL:Quality Of Life)を保ち、寿命を全うすることです。

目標を達成するためには、心理面での負担軽減にも努め、良好な血糖コントロールを長期的に維持し、合併症の発症や進展を防ぐことが大切です。

治療の目標数値は、年齢、罹病期間、臓器障害、治療薬による副作用のリスク、サポート体制などを総合的に評価して個別に設定されるべきものであり、一律に定めることはできません。

日本糖尿病学会では、妊娠例を除く成人に対する血糖コントロールの目標値の目安を、以下のように示しています。

<血糖コントロールの目標値の目安>

血糖正常化を目指す際の目標値
(食事療法や運動療法のみ、もしくは薬物療法中でも
低血糖などの副作用がなく達成可能な場合)
HbA1c 6.0 %未満
合併症を予防するための目標値 HbA1c7.0%未満
治療強化が困難な際の目標値
(低血糖その他の理由で治療の強化が難しい場合)
HbA1c8.0%未満

糖尿病薬を使う基準2) ~インスリンの絶対的適応と相対的適応

経口の糖尿病治療薬は、インスリンによる治療が必須ではなく、十分な食事療法、運動療法を2~3ヵ月間行っても目標とする血糖コントロールが達成できない場合に適応となります。

インスリンによる治療が必須である状態は、インスリン療法の絶対的適応と相対的適応に分けられ、主に以下のような場合が当てはまります。

<インスリン療法の絶対的適応と相対的適応>

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杏 優花
きょう ゆたか

薬科大学大学院修士課程修了後、病院薬剤師としてさまざまな診療科を経験。緩和ケアチーム発足時、専任薬剤師として活動したことをきっかけに、緩和医療の世界へ。約11年間緩和医療に従事し「心にも身体にも優しい医療」を実践。現在は3歳の娘の育児に奮闘中の母。長年の臨床経験で培われたリサーチ力、共感力をベースに、読者が今日(杏)も心豊か(優花)に過ごせるよう、正確かつ心に寄り添う文章の執筆をこころがけています。

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