【2025年改定】骨粗鬆症ガイドラインで薬剤師が知るべき3つの重要ポイント
骨粗鬆症の推定患者数は約1,280万人にのぼりますが、実際に治療を受けているのはわずか約1割に留まります。
骨折は要介護・要支援の原因の第3位を占め、超高齢社会においてその予防は急務です。定期的に患者と接し、服薬状況を継続的に把握できる薬剤師は、早期発見と治療継続の要を担う存在です。
2025年、骨粗鬆症ガイドラインは10年ぶりに大幅改訂されました。本コラムでは、新たな治療戦略と薬剤師に求められる役割の変化について解説します。
なぜ薬剤師に「患者の骨の健康を守ること」が求められるのか?
日本の超高齢化は単に高齢者が増加するフェーズを超えて、多疾患併存とフレイルへの対応が不可欠な時代へと突入しています。
厚生労働省が実施した令和4(2022)年の国民生活基礎調査では、要支援・要介護の原因疾患として骨折・転倒が第3位(13.9%)を占めており、骨粗鬆症や運動器疾患が介護の大きな要因となっていることが示されています1)。
しかし、骨粗鬆症の推定患者数は、約1,280万人(男性300万人、女性980万人)にのぼるにもかかわらず2,3)、実際に治療を受けている患者数は約138.7万人(令和5年度患者調査)にとどまります4) 。
背景には、骨粗鬆症性骨折のなかで最も頻度が高い椎体骨折が、軽症あるいは無症状で経過することが多く、骨折を自覚しないまま放置され、次の骨折が生じて初めて診断される例が珍しくないという疾患の特性があります5)。
また、2024年度から開始された「健康日本21(第三次)」では、骨粗鬆症検診の受診率を令和3年(2021)度の5.3%から令和14(2032)年度までに15%へ向上させる目標が明記されており、6)、治療の後追い状況の解消は喫緊の課題です。
さらに大腿骨近位部骨折に至っては、罹患後の生存率は1年で81%、2年で67%、5年で49%、10年で26%と予後不良であることが報告されています7)。
こうした現状において、薬局薬剤師は患者の歩行状態・身長低下・体重減少・円背といった変化を継続的に観察できるスクリーニングの最前線に立っています。
骨粗鬆症治療の目的は「骨折を予防して骨格の健康を保ち、生活機能とQOLを維持すること」であり、薬剤師が薬物治療の観点から患者の骨の健康を守ることは、フレイルや寝たきりを防ぎ、患者本人とその家族のQOL維持に直結する意義深い取り組みとなります。
「背が縮んだ気がする」「背中が丸まってきた」「歩くのが遅くなった」といった患者の何気ない一言を見逃さないことが、早期の治療介入につながる第一歩となるのです。