調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年3月8日 薬剤師コラム編集部

【2024改定版】小児特定加算の算定要件や薬剤師ができる支援を解説

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医療の進歩を背景に、2022年の調剤報酬改定で、医療的ケア児に対する薬学管理や指導を行うことで算定できる、『小児特定加算』が新設されました。まだまだ算定件数が少ないことから、詳細がわからないという薬剤師さんもいるかと思います。
この記事では、小児特定加算の詳細や対象患者である医療的ケア児について、詳しく解説していきます。
患者さんに対する、薬局・薬剤師ができる支援についてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

小児特定加算とは

小児特定加算は、児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である18歳未満の患者さんに対して、患者さんの状態に合わせた必要な薬学的管理および指導を行った場合に加算することができます。

算定対象の障害児(医療的ケア児)とは、NICU等の長期入院後、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことを指します。

小児特定加算の点数と算定要件は以下のとおりです。

小児特定加算の点数と算定要件

項目 ◯服薬管理指導料
◯かかりつけ薬剤師指導料
◯在宅患者オンライン薬剤管理指導料
◯在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
◯在宅患者訪問薬剤管理指導料
◯在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
◯在宅患者緊急時等共同指導料
小児特定加算 350 450
算定要件 処方箋が交付されている患者さんや、急変に伴い医師の求めによりオンラインで必要な薬学的管理及び指導を行った場合に算定する。 患者の急変や医師の指示に基づき、緊急に患者宅を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に加算する。

参照:令和6年度診療報酬改定の概要 【調剤】/厚生労働省

小児特定加算の算定要件

先程紹介した小児特定加算の算定要件のうち、外来患者と在宅患者それぞれの算定要件について詳しく解説していきます。また、一緒に算定できない加算についても、一緒に確認していきましょう。

外来患者に対する算定要件と点数

医療的ケア児の外来では、「服薬管理指導料小児特定加算(350点)」を患者さん1人につき1ヵ月に1回算定することができます。

算定要件は、児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である18歳未満の患者さんに対して、患者さんの状態に合わせた薬学的管理及び指導を行うことで、算定することができます。ただし、乳幼児服薬指導加算または乳幼児加算との併算定はできません。

乳幼児服薬指導加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

在宅患者に対する算定要件と点数

在宅の医療的ケア児に対する薬学管理指導では、「在宅患者オンライン薬剤管理指導料
または、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料(350点)」か、「在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料または、在宅患者緊急時等共同指導料(450点)」を算定することができます。

詳しい算定要件は以下のとおりです。

項目 点数 算定要件 回数
在宅患者オンライン薬剤管理指導料 350点 訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付等されている患者に対してオンラインで必要な薬学的管理及び指導を行った場合に算定 患者1人:月4回薬剤師1人:週40回
在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料 350点 急変等に伴い、医師の求めにより緊急でオンラインによる必要な薬学的管理及び指導を行った場合に算定 患者1人:月4回
在宅患者訪問薬剤管理指導料 450点 医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して薬学的管理及び指導を行った場合に算定 患者1人:月4回薬剤師1人:週40回
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 450点 急変等に伴い、医師の求めにより緊急で患家を訪問し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合に算定 患者1人:月4回
在宅患者緊急時等共同指導料 450点 急変等に伴い、医師の求めにより医師等と共同でカンファレンスを行い、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に算定 患者1人:月2回

参照:令和6年度診療報酬改定の概要 【調剤】/厚生労働省

在宅の医療的ケア児に対する薬学管理指導でも、在宅乳幼児服薬指導加算または乳幼児加算との併算はできません。

小児特定加算の算定対象である「医療的ケア児」とは

小児特定加算の算定対象である医療ケア児の詳細や、小児特定加算を算定する上で、薬局や薬剤師が実施すべき支援の方法とはどういったものがあるのか確認していきましょう。

「医療的ケア」とは

医療的ケア児とは、冒頭でも紹介したとおり「児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である18歳未満の患者さん」を指します。

児童福祉法第56条の6第2項には以下のような文言が書かれています。

【地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を受けられるよう、保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるように努めなければならない。】

引用:児童福祉法/e-Gov

具体的には、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことを指します。

必要となる薬学的管理や服薬支援

では、薬局や薬剤師は医療的ケア児やその家族に対して、どのような支援を行うことができるのでしょうか。

医療的ケア児は複数の薬剤を服用しているケースが多いため、副作用のチェックや薬剤の粉砕・混合が必要となるため、配合変化等の知識を身につけておく必要があります。(配合変化=2種類以上の薬剤を混合したときに起こる物理的・化学的変化)

また、医療的ケア児の家族へのケアも重要な役割となっているため、薬に対する丁寧な対応が求められます。例えば、「飲みにくそうなお薬がないか」「服用について少しでも不安なことがあればいつでも連絡をしてほしい」など、細かな配慮や言葉がけに気を配ってみてください。

実際の現場では以下のような薬学的管理の配慮が行われているので参考にしてみてください。

薬剤師が行う薬学的管理の配慮内容

  • 規格単位(1錠・半錠・1カプセル)に満たない薬用量の調節(粉砕・脱カプセル)
  • 散剤の配合変化や使用状況に配慮して混合せずに別包とする判断
  • 誤薬や服用忘れを防ぐための散剤の服用時点毎の計量混合(一包化のイメージ)
  • ハイリスク薬の粉砕・脱カプセルによる曝露やコンタミへの対策
  • 複数の薬包を服用時点ごとにまとめる工夫(ホチキス・輪ゴム・ケース使用等)
  • 経鼻チューブの閉塞を避ける配慮(脱カプセルや錠剤のコーティングの除去等)

参照:調剤(その2)/厚生労働省

薬局の支援としては、複雑かつ特別な配慮が必要となる医療的ケア児のサポートを行うことから、医療機関との密な連携や、小児在宅医療への積極的な参入が求められています。小児医療の分野で薬剤師が取得できる資格には、小児科領域の薬物治療に携わることができる「小児薬物療法認定薬剤師」があるので、ぜひチェックしてみてください。

参照:小児薬物療法認定薬剤師制度/日本薬剤師研修センター
https://www.jpec.or.jp/nintei/shouni/howto.html

小児特定加算の算定の流れ

小児特定加算を算定するにあたって、流れを確認していきましょう。

小児特定加算の算定の流れ

  1. 患者・家族と相談の上、必要な支援について検討
  2. 身体障害者手帳、療養手帳等の確認
  3. 実施した支援内容等を手帳に記載
  4. 服薬状況や追加支援の必要性などを継続して確認

小児特定加算を算定するには、国や地方自治体が発行する手帳等で医療的ケア児であることが確認できる場合となり、確認できない場合は、算定することはできないので、注意してください。

小児特定加算に関する疑義解釈

厚生労働省による、小児特定加算に関する疑義解釈を紹介します。

小児特定加算の対象患者について、「児童福祉法第 56 条の6第2項に規定する障害児である患者」であることは、どのように確認するのか。
国や地方自治体が発行する手帳の確認、処方医への問合せ等の適切な方法により確認すること。なお、確認できない場合は、当該加算は算定できない。

引用:疑義解釈資料の送付について(その1)/厚生労働省

まとめ

今回は、小児特定加算に関する内容を詳しく解説いたしました。
日本には医療的ケア児が約2万人いるとされており、日常的な医療的ケアが必要となっています。医療的ケア児に対する調剤は、複雑かつ服薬指導・支援においても配慮すべき点が多いため、患者さんひとり一人と向き合いながら家族へのサポートも心がけて対応してみてください。

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薬剤師コラム編集部

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