【2026年度改定版】薬剤調製料の算定要件や改定内容をわかりやすく解説
2022年度の調剤報酬改定で新設された薬剤調製料。薬局における基本業務を評価する項目として、毎回調剤時に算定されますが、どのように点数が計算されているか、正しく理解できているでしょうか。
本記事では、薬剤調製料に関する算定要件や、調剤管理料との違い、診療報酬改定におけるポイントについて詳しく解説していきます。
薬剤調製料とは
薬剤調製料は対物業務の評価項目であり、2022年に新設された調剤技術料です。
厚生労働省が2015年に発表した「患者のための薬局ビジョン」では、薬剤師の業務が対物から対人へとシフトしていくことが求められています。この方針に基づき、対物業務と対人業務の評価を明確に分ける見直しの一環として、薬剤調製料が導入されました。
以前は「薬剤の調製や取り揃え」「最終監査」といった対物業務の一部は調剤料で評価されていましたが、2022年以降は薬剤調製料の対象となりました。
参照:令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤) /厚生労働省
調剤管理料は「対人業務」の評価項目
薬剤調製料は調剤技術料の項目であり、薬の調製や監査といった「対物業務」を評価するものです。薬の種類ごとに算定点数は異なりますが、ここで混同しやすいのは、同様に処方薬の種類で点数を算定する調剤管理料です。
調剤管理料は薬学管理料の一つであり、対人業務を評価します。
実際に処方箋を受け付けてから患者が服薬するまでの一連の流れは以下のように「薬剤調製料(対物)」「調剤管理料(対人)」「服薬管理指導料(対人)」の3つの項目で明確に区分がされて評価されています。
| 調剤業務の流れ | 算定項目 |
| 〜処方箋受付〜 ① 患者情報等の分析・評価 (お薬手帳、後発医薬品の希望の有無、 薬剤服用歴等に基づく薬学的分析・評価) ② 処方内容の薬学的分析 (疑義照会を含む) ③ 調剤設計 |
調剤管理料 |
| ④ 薬剤の調製、取り揃え ⑤ 最終監査 |
薬剤調製料 |
| ⑥ 服薬指導、薬剤の交付 | 服薬管理指導料 |
| ⑦ 調剤録・薬剤服用歴への記載 | 調剤管理料・服薬管理指導料 |
参照:令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤) /厚生労働省
薬剤調製料と調剤管理料の違いについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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薬剤調製料の算定要件・点数
薬剤調製料は薬の種類ごとに算定可能な点数が以下の通り異なります。
| 薬の種類 | 算定要件 | 点数 |
| 内服薬 | 1剤につき、3剤分まで | 24点 |
| 屯服薬 | 処方箋受付1回につき | 21点 |
| 浸煎薬 | 1調剤につき、3調剤分まで | 190点 |
| 湯薬 | 1調剤につき、3調剤分まで |
イ7日分以下190点 ロ8日分以上28日分以下 (1)7日目以下の部分190点 (2)8日目以上の部分 (1日分につき)10点 ハ29日分以上400点 |
| 注射薬 | 処方箋受付1回につき | 26点 |
| 外用薬 | 1調剤につき、3調剤分まで | 10点 |
| 内服用滴剤 | 1調剤につき | 10点 |
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
それぞれの算定要件について個別に詳しくみていきましょう。
内服薬
内服薬は1剤につき24点算定が可能で、処方箋受付1回につき3剤まで算定が可能です。
1剤とは、服用時点が同じ薬のことであり、数え方の詳細は後ほど説明します。
内服薬の数え方について、注意が必要なポイントをお示しします。
-
内服薬には内服用滴剤や浸煎薬、湯薬は含まれない
→浸煎薬または湯薬を同時に調剤した場合には、浸煎薬または湯薬の調剤数を内服薬の剤数に含める。
-
ドライシロップは液剤もしくは散剤どちらで投与するかで分類が決まる
→液剤(シロップ剤)として投与するときは内服用液剤として算定。
散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定
服用時点が同じものは全て1剤としてカウントしますが、以下の場合は別剤として算定できます。
- 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
- 内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合
- 内服錠とチュアブル錠または舌下錠等のように服用方法が異なる場合
薬剤調製料の算定方法に関して、クイズ形式で知識を確認したい方は以下の記事をご覧ください。
屯服薬
屯服薬は、調剤した剤数や回数に関わらず、処方箋受付1回につき21点を算定します。
浸煎薬
浸煎薬とは、生薬を浸煎し、液剤として調整したもののことです。
浸煎薬は日数に関わらず、1調剤につき190点を、処方箋受付1回につき3調剤まで算定可能です。
内服薬または湯薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、湯薬については調剤数を浸煎薬の調剤数に含めることになります。
湯薬
湯薬とは、薬局で2種以上の生薬(粗切、中切または細切したもの)を混合調剤し、煎じる量ごとに分包したもののことです。
湯薬は1調剤につき投薬日数に応じて所定の点数を算定します。 処方箋受付1回につき4調剤以上ある場合は、3調剤まで算定可能です。
内服薬または浸煎薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、浸煎薬については調剤数を湯薬の調剤数に含めます。
注射薬
注射薬は、処方箋受付1回につき26点を算定します。注射薬が複数薬処方されていたり、日数が長期であったとしても算定点数は変わりません。
外用薬
外用薬は、1調剤につき10点を処方箋受付1回につき3調剤までを算定可能です。
以下の点には特に注意が必要です。
- トローチについては、外用薬として算定
- 同一有効成分で同一剤形の外用薬が複数ある場合には、その数にかかわらず、1調剤として取り扱う。
内服用滴剤
内服用滴剤とは、1回量が非常に少ない(1滴〜数滴)内服用の液剤のことです。スポイトや滴瓶などで分割使用するものを指します。ピコスルファート内用液やアルファロール内用液などが含まれます。
内服用滴剤は、投与日数に関わらず1調剤につき10点を算定します。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
薬剤調製料の加算項目
薬剤調製料の加算項目は以下の6種類です。
- 無菌製剤処理加算
- 麻薬等加算(麻薬、向精神薬、覚醒剤原料、毒薬加算)
- 自家製剤加算
- 計量混合調剤加算
- 時間外等加算(時間外、休日、深夜)
- 夜間・休日等加算
このうち無菌製剤処理加算には、2026年度の調剤報酬改定で変更が加えられています。それぞれの加算について詳しくみていきましょう。
無菌製剤処理加算【2026年度改定あり】
無菌製剤処理加算は、無菌室やクリーンベンチ、安全キャビネットといった無菌環境で、無菌化した器具を使用して無菌製剤処理を行うことで算定できます。
対象となる薬は注射薬のみであり、「中心静脈栄養法輸液」「抗悪性腫瘍剤」「麻薬」の3種類です。
無菌製剤処理加算は、1日分ごとに以下の点数を算定できます。
| 種類 | 算定要件 | 15歳以上 | 15歳未満 |
| 中心静脈栄養法用輸液 | 2以上の注射薬を混合 | 69点 | 237点 |
| 抗悪性腫瘍剤 | 2以上の注射薬を混合(生理 食塩水等で希釈する場合を含む) |
79点 | 147点 |
| 麻薬 | 麻薬を含む2以上の注射薬を混合 (生理 食塩水等で希釈する場合を 含む) または原液を無菌的に充填 |
69点 | 137点 |
なお、2026年度調剤報酬改定では、無菌製剤処理加算の増点対象が乳幼児(6歳未満)から小児(15歳未満)まで拡大されました。また、15歳未満の患者に対して中心静脈栄養法用輸液の無菌製剤処理を行った場合の点数も137点(6歳未満)→237点に引き上げられています。
麻薬等加算(麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬加算)
麻薬等加算(麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬加算)は、1調剤につき以下の点数を算定することができます。
麻薬等加算の点数| 種類 | 点数 |
| 麻薬 | 70点 |
| 麻薬以外 | 8点 |
上記は、品目数や投薬日数に関係なく算定できますが、薬剤成分の含有量が麻薬等の取り扱いとなる規制含有量に満たない場合は算定できません。
なお、内服薬のほか、屯服薬、注射薬、外用薬についても加算可能です。
自家製剤加算
自家製剤とは、個々の患者の処方に対し、薬価収載されている剤形・規格では対応が難しい場合に、医師の指示に基づき調剤時に特別な対応をした際に算定が可能です。
例として、以下のような内容が、自家製剤の業務に含まれます。
錠剤を粉砕して散剤とすること
主薬を溶解して点眼剤を無菌に製すること
主薬に基剤を加えて坐剤とすること
調剤した医薬品と同一剤形・同一規格を有する医薬品が薬価収載されている場合は算定できないため注意が必要です。
ただし、2024年度の診療報酬改定において、供給上の問題により当該医薬品が入手困難であり、必要な数量を確保できない場合は自家製剤加算の算定が可能となりました。
自家製剤加算は、薬の種類ごとにそれぞれ以下の点数を算定します。
| 種類 | 点数 |
| 【内服薬】 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、 顆粒剤、エキス剤 液剤 |
20点(7日分) ※投与日数が7またはその端数を 増すごとに所定の点数を算定 45点(1調剤) |
| 【屯服薬】 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、 顆粒剤、エキス剤 液剤 |
90点(1調剤) 45点(1調剤) |
| 【外用薬】 錠剤、トローチ剤、軟膏剤、パップ剤、 リニメント剤、坐剤 点眼剤、 点鼻・点耳剤、浣腸剤 液剤 |
90点(1調剤) 75点(1調剤) 45点(1調剤) |
予製剤による場合または錠剤を分割する場合にあっては所定点数の100分の20に相当する点数を算定します。
計量混合調剤加算
計量混合調剤とは、2種類以上の医薬品を計量・混合した場合に算定することができます。内服薬・屯服薬・外用薬のいずれも算定可能であり、1調剤につきそれぞれ以下の点数を加算します。
| 種類 | 点数 |
| 液剤 | 35点 |
| 散剤、顆粒剤 | 45点 |
| 軟・硬膏剤 | 80点 |
予製剤を使用する場合は20/100を算定します。
時間外等加算
時間外等加算は、時間外・休日・深夜加算の3種類があり、それぞれの対象となる時間帯と加算割合は以下の通りです。
時間帯が被っている場合も重複して算定することはできません。
| 算定対象の時間帯 | 点数 | |
| 時間外加算 | ・6時〜8時、18時〜22時 ・休日加算の対象となる休日以外の日を 終日休業日とする薬局の休業日 |
基礎額の100% |
| 休日加算 | 日曜日、国民の祝日、12月29〜31日、 1月2〜3日 |
基礎額の140% |
| 深夜加算 | 22時〜翌6時 | 基礎額の200% |
※基礎額=調剤基本料(加算含む)+薬剤調製料+無菌製剤処理加算+調剤管理料
夜間・休日等加算
夜間・休日等加算は、薬局が以下の時間に開局した場合に処方箋受付1回につき40点算定可能です。
- 平日の19時〜翌8時
- 土曜日の13時〜翌8時
上記の、夜間・休日等加算の対象になる時間帯を、薬局内外に掲示する必要があります。
時間外等加算の要件を満たす場合には、夜間・休日等加算ではなく、時間外等加算を算定します。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
「剤数」と「調剤数」の考え方
ここでは、それぞれの算定要件における「1剤」と「1調剤」の数え方について確認をしていきます。
1剤とは
まずは内服薬の数え方である1剤の考え方についてみていきましょう。
基本的な考え方として「1剤=服用時点が同じもの」としてカウントします。
ただし、カウントする際には、以下のような注意が必要です。
※ 2種類以上の薬剤を調剤する場合、それぞれの内服薬を個別の薬包等に調剤しても服用時点が同一であるものについては1剤として算定
※ 服用時点が同一である薬剤は投与日数にかかわらず1剤として算定
※ 同一有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤として算定する。
※ 食事を目安とする服用時点は基本的に「食前」、「食後」、「食間」の3区分であり、「食直前」や「食前30分」は「食前」とみなし、1剤として扱う
1調剤とは
次に、浸煎薬・湯薬・外用薬・内服用滴剤の薬剤調整料を算定する際に必要となる「1調剤」の数え方を確認していきます。
1調剤:服用時点と処方日数が同一である場合
1剤との違いは、服用時点だけではなく、処方日数も同じである必要があるということです。
外用薬の1調剤とは、基本的に「1薬品1調剤」と考えます。
ただし、2種類以上の薬の混合指示があるものに関しては混合後のものを1調剤としてカウントします。
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
注意すべき処方例
ここでは、薬剤調製料を算定する際に注意が必要な処方について見ていきましょう。
