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調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年4月18日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】医療DX推進体制整備加算の算定要件をわかりやすく解説

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医療現場においてもデジタル化が進む中、2024年に新設された「医療DX推進体制整備加算」。マイナ保険証や電子処方箋等の普及状況に応じて、算定要件が頻繁に変更されるため、薬局でも対応に追われているのではないでしょうか。

本記事では、算定要件や施設基準、さらに2025年4月に新たに加えられた変更点等について詳しく解説をします。正しく算定ができるよう、ぜひ参考にしてみてください。

医療DX推進体制整備加算とは

医療DX推進体制整備加算とは、薬局や医療機関がオンライン資格確認や電子カルテ・処方箋等の活用といった、医療DXに対応する体制を整備している場合に調剤基本料に対して算定できる加算です。医療DXの推進を通じて、医療の質の向上や業務の効率化、患者サービスの向上を目指しています。

薬局における調剤報酬だけではなく、医科や歯科診療報酬にも同じ加算があり、医療業界全体で医療DXの推進を目指しています。

オンライン資格確認とは

医療DX推進体制整備加算のポイントとなる、オンライン資格確認とは、マイナンバーカードのICチップや健康保険証の記号番号を使って、オンラインで保険資格を確認する仕組みのことです。

オンライン資格確認の導入により、

  • 受付業務の手間削減
  • 資格過誤によるレセプト返戻の作業削減
  • 患者の医療情報の入手による正確な医療の提供

といったことが期待されます。

マイナ保険証利用のメリット

マイナ保険証の普及により、医療機関と患者の服薬状況や健康状態に関する情報共有が容易になり、患者の治療をより安全におこなうことができるようになります。

また、今後は医療機関と薬局間だけでなく、自治体や介護事業所との情報共有、マイナポータルの機能拡大など、全国医療情報プラットフォームが構築される予定です。

公費負担医療や地方単独医療費助成、予防接種、介護、母子保健情報といった幅広い情報が連携されていくことで、効率化や利便性が向上していくことも期待されます。

参照:医療DXの推進に関する工程表〔全体像〕 / 内閣府

2025年4月に変更となった算定要件

医療DX推進体制整備加算の算定要件に関して、2025年4月以降に以下の2点が変更となったため確認をしておきましょう。

①マイナ保険証利用率と点数

医療DX推進体制整備加算は1~3の3区分あり、薬局におけるマイナ保険証利用率に応じて算定できる点数が異なりますが、その利用率および算定点数が変更となります。
現時点では2025年4月〜9月における基準が設定がされています。

区分 2025年1月〜3月 2025年4月〜9月
マイナ保険証利用率 点数 マイナ保険証利用率 点数
医療DX推進体制整備
加算1
30%以上 8点 45%以上 10点
医療DX推進体制整備
加算2
20%以上 6点 30%以上 8点
医療DX推進体制整備
加算3
10%以上 4点 15%以上 6点

参照:医療DX推進体制整備加算の見直し(令和7年4月1日から適用) / 厚生労働省

②施設基準への追加事項

施設基準に関して、以下の項目への変更が加えられました。



(4)電子処方箋により調剤する体制を有していること。
※経過措置として2025年3月31日まで


(4)電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋により調剤する体制を有するとともに、紙の処方箋を受け付け、調剤した場合を含めて、原則として、全てにつき調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録すること。

医療DX推進体制整備加算の点数と算定要件

医療DX推進体制整備加算は、施設基準を満たし、適切に届出を行った薬局が調剤を行った場合において、月1回に限り、処方箋受付1回につき以下の点数を調剤基本料に対して加算可能です。

区分 点数
医療DX推進体制整備加算1 10点
医療DX推進体制整備加算2 8点
医療DX推進体制整備加算3 6点

参照:調剤報酬点数表に関する事項 / 厚生労働省
参照:医療DX推進体制整備加算の見直し(令和7年4月1日から適用) / 厚生労働省

ただし、患者1人につき同一月に2回以上調剤を行った場合においても、月1回のみの算定となります。

医療DX推進体制整備加算の算定要件として、以下の対応を行うことと定められています。

医療DX推進体制整備加算の算定要件

  • オンライン資格確認等システムを通じて取得した患者の診療情報、薬剤情報等を閲覧及び活用し、調剤、服薬指導等を行う。
  • 患者の求めに応じて、電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋に基づき調剤するとともに、紙の処方箋を受け付け、調剤した場合を含めて、調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録する。

参照:調剤報酬点数表に関する事項 / 厚生労働省

また、特別調剤基本料Bを算定している薬局は、医療DX推進体制整備加算を算定できません。

医療DX推進体制整備加算の施設基準

医療DX推進体制整備加算は、1・2・3に共通する施設基準と、区分ごとに設けられた基準があります。
ここでは医療DX推進体制整備加算の共通する施設基準を見ていきましょう。

医療DX推進体制整備加算の施設基準

(1)電子レセプトによる診療報酬請求を行っていること。

(2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。

(3)オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報、薬剤情報等を取得し、調剤、服薬指導等を行う際に当該情報を閲覧し、活用できる体制を有していること。

(4)電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋により調剤する体制を有するとともに、紙の処方箋を受け付け、調剤した場合を含めて、原則として、全てにつき調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録すること。

(5)電子的記録による調剤録及び薬剤服用歴の管理体制を有していること。

(6)国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること。

(7)マイナンバーカードの健康保険証としての利用率が一定割合以上であること。

(8)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い医療を提供するための十分な情報を取得し、及び活用して調剤を行うことについて、当該保険薬局の見やすい場所に掲示していること。具体的には次に掲げる事項を掲示していること。
  (イ)オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報、薬剤情報等を取得し、調剤、服薬指導等を行う際に当該情報を閲覧し、活用している保険薬局であること。
  (ロ) マイナンバーカードの健康保険証利用を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる保険薬局であること。
  (ハ) 電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを活用するなど、医療DXに係る取組を実施している保険薬局であること。

(9)(8)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。ただし、ホームページ等を有しない保険薬局については、この限りではない。

(10)最新の厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参照し、サイバー攻撃に対する対策を含めセキュリティ全般について適切な対応を行う体制を有していること。

(11)マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること。

 ※医療DX推進体制整備加算3を算定する場合、「10」は要件には含まれていない。

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 保医発0305第6号 令和6年3月5日 / 厚生労働省

必要な届出について

医療DX推進体制整備加算を算定するためには、別添2の様式87の3の6 を用いて、地方厚生(支)局長への届出を行う必要があります。

なお、施設基準(11)に関しては当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長への届出を行う必要はありません。

医療DX推進体制整備加算の届出に関してさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

マイナ保険証の実績要件(2025.4〜新基準)

医療DX推進体制整備加算1・2・3を算定するにあたり、以下のとおり区分ごとにマイナ保険証利用率に関する基準が設けられています。

2025年4月〜9月は新たな基準となるため、確認しておきましょう。

マイナ保険証の実績要件(2025.4〜新基準)

区分 マイナ保険証利用率
2025年1月〜3月 2025年4月〜9月
医療DX推進体制整備加算1 30%以上 45%以上
医療DX推進体制整備加算2 20%以上 30%以上
医療DX推進体制整備加算3 10%以上 15%以上

参照:医療DX推進体制整備加算の見直し(令和7年4月1日から適用) / 厚生労働省

ただし、2025年10月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、附帯意見を踏まえ、2025年7月を目処に検討、設定するとされています。

マイナ保険証利用率の計算方法

マイナ保険証利用率は以下の計算方法で算出可能です。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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