調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2025年4月19日 薬剤師コラム編集部

【2024年度改定版】地域連携薬局の算定要件や改定内容ををわかりやすく解説

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今回は、2021年に始まった機能別薬局の認定制度の「地域連携薬局」について解説していきます。地域連携薬局の認定を受けるための要件や、地域医療への貢献を評価する点で共通している「地域支援体制加算」との違いについても紹介しているので、違いについてわかりにくいと感じている薬剤師さんはぜひお読みください。

地域連携薬局とは

地域連携薬局とは、外来受診・入退院時や在宅医療といった様々なケースで、医療機関と連携して対応できる薬局のことを指します。2021年8月に始まった認定薬局制度で、薬局も患者さんの健康や治療のサポートをすることが大きな目的です。

平成27年に厚生労働省が作成した「患者のための薬局ビジョン」では、患者さんのための薬局として「健康サポート機能」「高度薬学管理機能」「服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等の連携」が期待されており、今回の地域連携薬局の新設もそういった背景が反映されています。

「患者のための薬局ビジョン」とは

「患者のための薬局ビジョン」とは、患者さんにとって本当に必要な薬局の機能を明らかにするということから、患者さんが医薬品・薬物療法等に関して安心して相談でき、最適な薬物療法を受けられるような薬局のあり方を目指すために平成27年に作成されました。

「患者のための薬局ビジョン」の基本的な考え方は3つの柱から成り立っています。

1. 立地から機能へ

門前薬局など便利さだけで患者さんに選択されるのではなく、薬剤師としての専門性や、24 時間対応・在宅対応等の様々な患者・住民のニーズに対応できる機能を発揮しながら患者さんに選択してもらえるようにする。

2. 対物業務から対人業務へ

患者さんに選択してもらえる薬剤師・薬局となるため、専門性やコミュニケーション能力の向上を図り、薬剤の調製といった対物中心の業務から、患者さんに寄り添った対人業務へとシフトする。

3. バラバラから一つへ

患者さんがかかりつけ薬剤師・薬局を選択することにより、服薬情報が一つにまとまり、飲み合わせの確認や残薬管理など安心できる薬物療法を受けることができる。また、多職種・他機関と連携して地域包括ケアの一翼を担う存在となる。

このように、患者さんに寄り添った薬局・薬剤師を目指すことを目的としたビジョンとなっています。

特定の機能を有する薬局である「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」

「患者のための薬局ビジョン」において、特定の機能を有する薬局として、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」があげられました。
それぞれ役割や要件が異なるので確認しておきましょう。

「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の算定要件比較

地域連携薬局 専門医療機関連携薬局

入退院時の医療機関等との情報連携や、在宅医療等に地域の薬局と連携しながら一元的・継続的に対応できる薬局 がん等の専門的な薬学管理に関係機関と連携して対応できる薬局



関係機関との情報共有(入院時の持参薬情報の医療機関への提供・退院時カンファレンスへの参加等)
夜間・休日の対応を含めた地域の調剤応需体制の構築・参画
地域包括ケアに関する研修を受けた薬剤師の配置
在宅医療への対応(麻薬調剤の対応等)
関係機関との情報共有(専門医療機関との治療方針等の共有、患者が利用する地域連携薬局等との服薬情報の共有等)
学会認定等の専門性が高い薬剤師の配置等 <専門性の認定を行う団体>
・日本医療薬学会(地域薬学ケア専門薬剤師(がん))
・日本臨床腫瘍薬学会(外来がん治療専門薬剤師)

参考:「地域における薬局・薬剤師のあり方について / 厚生労働省

専門医療機関連携薬局についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

地域連携薬局の認定基準

地域連携薬局の認定を受けるためには以下の4つの認定基準があります。

プライバシーに配慮した相談しやすい構造設備
地域の医療提供施設と情報共有する体制
地域の医療提供施設と連携して安定的に薬剤等を提供する体制
在宅医療に必要な対応ができる体制

各認定基準の詳細と、認定を受けるための申請書についても記載してありますので、参考にしてみてください。

① プライバシーに配慮した相談しやすい構造設備

患者さんが安心して相談できる体制を整える必要があるので、服薬指導の際の内容が聞こえないようにパーティションで仕切ったり待合席より少し距離をとった場所にカウンターを設置したりするなどの対応が求められます。また、カウンターに椅子を準備する・手すりをつける・段差がないなど、誰でも快適に薬局を利用できるようにする必要があります。

② 地域の医療提供施設と情報共有する体制

医療機関と薬局との顔の見える関係づくりを行うために、地域包括ケアシステムの構築に役立てる会議への継続的な参加が求められます。また、外来・入退院・在宅における医療機関や薬局との情報共有の体制を整えることや、医療機関への情報提供の実績が月30回以上必要となります。

地域包括ケアシステムとは、高齢者などの生活上の安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが、住み慣れた地域で受けられる体制を指します。

③ 地域の医療提供施設と連携して安定的に薬剤等を提供する体制

薬剤師の業務体制を整えるという点で、「時間外の相談対応」「休日・夜間の調剤対応」
「特殊な調剤への対応(麻薬・無菌製剤処理)」の体制が整っている必要があります。

また、常勤薬剤師の半数が継続1年以上勤務・研修修了薬剤師(常勤薬剤師の半数修了)が勤務している必要があります。

④ 在宅医療に必要な対応ができる体制

過去1年間において月平均2回以上の在宅訪問の実績と、医療機器・衛生材料を提供するための体制が定められています。薬局で保管する医療機器・衛生材料は、薬局で必要と判断したもので差し支えありませんが、保管したもの以外が必要になった場合には、速やかに入手できる体制を構築しておきましょう。

⑤ 申請書を適切に提出すること

地域連携薬局に認定されるには、申請を行う必要があります。申請書については、厚生労働省の「地域連携薬局認定申請書 」に必要事項を記載して提出してください。

参考:「地域における薬局・薬剤師のあり方について / 厚生労働省

地域連携薬局の更新方法

地域連携薬局に認定を引き続き受ける場合は、有効期間の満了する日までに更新申請を行なってください。有効期間の2ヶ月前から申請することができます。

地域連携薬局の更新申請書は、厚生労働省の「地域連携薬局認定更新申請書 」に必要事項を記載して提出してください。

地域連携薬局の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

地域支援体制加算とは算定要件が異なる

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薬剤師コラム編集部

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