ソモジー効果と暁現象について

糖尿病の世界では長年、患者さんの総死亡を減少させる(長生きできる)治療法の確立を目指してきました。ここ最近、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬により総死亡を抑制できたという臨床試験結果が出たことで、各国のガイドラインなどが大きく変わってきています。
糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師の資格を持ち、日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会、日本化学療法学会に所属する著者が薬剤師の皆さんに知っておいて欲しい糖尿病治療のポイントをご紹介します。
今回はm3.com薬剤師会員の皆さんからいただいた「糖尿病患者への服薬指導における疑問・質問」について、文献や私の経験ももとにお答えする&Aシリーズ第2弾です。今回は、ソモジー効果と暁現象について、その対応をまとめ、理論的に考えるために必要となる責任インスリンの考え方についてまとめたいと思います。
Q. ソモジー効果と暁現象の違いがよくわからない
今回は、ソモジー効果と暁現象についてふれていきたいと思います。私事ですが、この2つの現象は、以前に総合内科専門医試験を受ける当院で仲良くさせていただいていた消化器内科のドクターに試験の少し前に説明する機会があり、ばっちり専門医試験に出たと喜ばれたことが、印象に残っています。総合内科専門医試験にも出るくらい知っておくべき内容だと思っています(笑)
まず、この2つの現象は例えば血糖測定で毎食前+眠前の4検を測定している場合、血糖値は、どちらも同じように見えることが注意点です。なのに、やるべきことは真逆と言ってもいいところがポイントです。詳しく見ていきましょう。
人は、早朝、内分泌ホルモン(主に成長ホルモン)の影響で血糖値が上がるようになっています(起床するための準備ともいえるでしょう)。通常であれば、血糖値を上昇させるホルモンと呼応するようにインスリン分泌が反応するため、大きな血糖上昇は認めず、ほんの少し血糖値が上がる程度にとどまります。ところが、糖尿病患者さんの場合には、呼応するインスリン分泌能力が低いこともあり、早朝の内分泌ホルモンの影響で大きく血糖値が上昇し朝を迎えることがあります。これが暁現象です。
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