これは算定できる?できない?重複投薬・相互作用等防止加算の考え方

「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
重複投薬・相互作用等防止加算は、疑義照会して処方の変更が行われた場合に算定しますが、「どのような疑義照会でも算定出来るのか?orどのような疑義照会は算定出来ないのか?」という疑問を頂いている方も多いと思います。
そこで今回はケース別に、算定可否の考え方を解説するので、日々の業務にお役立てください。
参考までに重複投薬・相互作用等防止加算の算定についての概要は以下のとおりです。

重複投薬・相互作用等防止加算/筆者作成
なお、「薬剤の追加や投与期間の延長」の場合の算定可否の考え方、「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」の場合の算定可否の考え方については以下のコラムで取り上げています。
併せてご確認頂くことでより理解が深まるかと思います。
ケース1.患者からいつも飲んでいる〇〇の薬も欲しかったと要望があり、問い合わせをして薬を追加してもらった
本ケースでは、「どのような理由で疑義照会を行うのか?」が判断ポイントになるでしょう。
例えば…
- 単に処方医が処方するのを忘れていると思われる
- 診察の段階では〇〇の薬は不要になったと処方医が判断したと思われる
- 患者が残薬の状況を処方医に伝え忘れた(誤って伝えた)と思われる
など、様々な疑義照会の理由が想定されます。
あくまで私見にはなりますが、これらのパターンにおいては基本的には算定可と考えています。
というのも、薬の追加で疑義照会を行う際には何らかの薬学的な観点があるはずだからです。
患者さんから要望があったからという理由だけで問い合わせをしているのではなく、そのまま調剤すると患者さんには必要な薬が渡されずに適切な薬物治療につながらないと考えるからこそ、事務さんではなく薬剤師が疑義照会をするのであって、そこには薬学的な観点が入っているのだと思います。
逆に言うと、「薬学的な観点がない(事務さんが問い合わせ可)」と判断する場合は算定しない方がよいということになります。
判断基準としては「薬学的な観点があるかどうか」であり、判断する人によって算定可否が変わってくる部分ですので一概には言えませんが、考え方として参考にしてみてください。。
仮に算定する場合は「イ残薬調整に係るもの以外の場合」もしくは「ロ残薬調整に係るものの場合」のどちらかになりますが、処方内容や問い合わせ内容により個々に判断が分かれる部分となります。
なお、この点については以下の疑義解釈が示されています。
【重複投薬・相互作用等防止加算】
- (問30)重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定対象の範囲について、「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」とあるが、具体的にはどのような内容が含まれるのか。
- 薬剤師が薬学的観点から必要と認め、処方医に疑義照会した上で処方が変更された場合は算定可能である。具体的には、アレルギー歴や副作用歴などの情報に基づき処方変更となった場合、薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合は対象となるが、保険薬局に備蓄がないため処方医に疑義照会して他の医薬品に変更した場合などは当てはまらない。
引用元:医療課疑義解釈資料の送付について(その1) 事務連絡平成28年3月31日 /厚生労働省保険局
ケース2.なる処方箋の入力ミスと思われる内容に対して、問い合わせを行い処方変更してもらった
ケース1と同様ですが、判断基準としては「薬学的な観点があるかどうか」です。
例えば「痛み止めA 1回100錠 10回分」といった処方箋を受け付けた場合など、明らかに処方箋の入力ミスと判断できるケースも少なくないと思います。
この事例はあくまで一例ですが、薬学的な判断を要さず、誰が見ても誤りである(入力ミスである)と判断できるというケースにおいては算定不可と考えています。
算定要件がどうなっているのかという以前に、「薬学的な観点がない行為に対して、加算を算定しても良いのか?」という根本的な疑問があるからです。
重複投薬・相互作用等防止加算は要件を厳密に見ていくと、解釈次第では処方箋の入力ミスも算定可と出来る余地は確かにありそうなので断定は出来ないのですが、そもそもの点数の趣旨を踏まえて判断頂ければと存じます。