患者タイプ別 服薬指導のツボ(薬剤師向け)

更新日: 2021年2月24日 村尾 孝子

薬が効かないという患者さん

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患者ケース49:薬が効かないという患者さん

定期的に来局する60代の女性患者さんが「全然この薬きかないから、もう飲みたくない」と言い張ります。処方どおりにちゃんと服薬してくださっているようで、こちらとしても返す言葉が見つかりません…。このように薬が効かないという患者さんに服薬を続けてもらうことはできるでしょうか。また薬剤師としてできることはありますか?

服薬指導のツボ!

患者さんに「薬が効いていない」などと言われたら、どうしてそう思うのかを一歩踏み込んで患者さんに尋ねてみましょう。継続服用によって症状が安定していることを「効果がない」と感じたり、残薬があることを言えずにいるのかもしれません。患者さんの話を鵜呑みにせず、「何か困っているのでは?」「問題が隠れていないか?」など、あらゆる可能性を考慮してしっかりとヒアリングをしてから対応を考えましょう。治療に影響を及ぼす話を聞き出せたときは、状況に応じてドクターに情報提供することも大切です。

「薬が効いていない」「飲みたくない」と思う理由をしっかり聞き出しましょう

相談のような事例は、案外多いように思います。しかし、患者さんの言う通りに「薬が効いていない」と決めつけてしまうのは考えもの。「効いていない」などと言われたら、どうしてそう思うのかを一歩踏み込んで患者さんに尋ねてみることが大切です。
今回の例では患者さんは「効かないから飲みたくない」と話したようですが、同じ薬を長く飲んでいると、薬の効果で症状が安定しているにもかかわらず、「薬の効果がない」と感じてしまうことがあります。
例えば高血圧や糖尿病の治療中、血圧や血糖値が落ち着いていると「変化がない」と感じてそれを「薬が効いていない」と思ってしまうケース。また、継続して飲んでいると、1回や2回飲み忘れても目に見えて症状が悪化することがないため「飲まなくても変わりない」=「効いていない」と思っているのかもしれません。これらのケースでは「症状が安定していることが(薬が)効いている証拠」と丁寧に説明する必要があります。飲み続けているからこそいい状態を保つことができているんだということ、ここで止めてしまうと症状悪化につながりかねないことなどを理解してもらえるまで根気強く説明しましょう。

患者さんには飲みたくない理由が別にあるのかもしれません

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村尾 孝子
むらお たかこ

薬剤師、医療接遇コミュニケーション コンサルタント、健康講演・企業研修セミナー講師、株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業、埼玉大学大学院経済学部経営管理者養成コース修了、病院・薬局・教育研修会社勤務を経て現職。

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