先輩の服薬指導を、そのまま真似してはいけない理由~関係性の構築というステップ
薬剤師として少し仕事に余裕が出てくると、「周囲の薬剤師がどんな服薬指導をしているのか」、も気になり始めます。テキパキと的確に服薬指導を進める薬剤師、患者さんからどんな質問を受けても正確に回答できる薬剤師、気さくな接し方で患者さんと仲良くなる薬剤師・・・自分の周囲に居る色んな薬剤師の姿を見て、そこから自分でも真似できそうなこと、自分の服薬指導にも取り入れられそうなことを見つけ、自分の対人業務の質を高めていくことは、薬剤師としても非常に重要な取り組みです。
場合によっては、ベテラン薬剤師から「自分や先輩の服薬指導を見て学ぶように」と指示されることもあるかもしれません。これ自体はとても有意義な試みではあるのですが、1つ絶対に押さえておかなければならない注意点があります。それは、先輩薬剤師が見せる、「既に関係性を構築できている患者さんに対する服薬指導」を、そのまま表面上だけ真似しようとすると、間違いなく痛い目に遭う、というものです。
患者さんとの関係性によって、“適したコミュニケーション”は異なる
患者さんとフレンドリーに、気さくに話をする先輩薬剤師の姿を見て、「自分もあんな風に親しげにお話できる薬剤師になりたい!」と感じる薬剤師は多いと思います。確かに、こうしたフランクな接し方ができる薬剤師は、患者さんにとっても非常に魅力的で身近に感じられる、薬剤師としての1つの理想の姿と言えます。
しかし、ここで忘れてはならないのは、その先輩薬剤師も“最初”からいきなりそんなフランクな対応をしていたわけではなく、何度も服薬指導を行い、少しずつ信頼関係を構築してきた結果として、今は“そういう対応”ができる関係性に到達している、という点です。