患者タイプ別 服薬指導のツボ(薬剤師向け)

更新日: 2024年5月14日 村尾 孝子

認知症の患者さんの服薬管理はどうする?

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ケース122:認知症の患者さんの服薬管理はどうする?

認知症の患者さんにインスリン注射の使い方の説明をしました。その場では、患者さんが理解したと思いましたが、後日話を聞いたところ注射を打っていないことが判明しました。認知症の方の服薬管理はどうすることがベストでしょうか。

服薬指導のツボ

認知症状によりさまざまな服薬管理が考えられますから、ひとりひとりの患者さんのベストを探っていきましょう。患者さんの治療への意欲や服薬管理を支援する人が周囲にいるかどうかを確認して、インスリンを正しく使用するために必要なことを繰り返し何度も説明します。服薬状況に関する情報を主治医に報告し、患者さんが自己管理できるような治療方法を検討してもらえないか相談することも大切です。服薬管理の問題だからと薬剤師だけで抱え込まず、訪問介護といった社会的サービスの利用も含めて、患者さんやご家族にとってベストな方法を一緒に考えましょう。

患者さん本人の治療への意欲を大切にしましょう

認知症の患者さんは服薬アドヒアランスが低いことが大きな課題です。糖尿病の治療もおこなっている場合、低血糖等による重大な事故を防ぐためにも服薬管理には十分な注意が必要ですが、本人任せでは不安というケースは少なくないでしょう。患者さんの認知症状により服薬管理の方法もさまざまなケースが考えられますから、ひとりひとりの患者さんのベストを探っていきましょう。

そこで確認したいことのひとつ目は、患者さんの治療への意欲です。認知症の患者さん本人に確認して、インスリンを自分で使いたい、と強く思っているのであれば、本人の自尊心を大切にしてほしいと思います。血糖コントロールは認知症状の進行にも関係します。説明の手ごたえをつかむのは難しいかもしれませんが、「何のためにインスリンを打つのか」を患者さんに説明することから始め、インスリンを正しく使用するために必要なことを繰り返し何度も説明します。患者さんが理解しやすい方法を探るためにも、ゆっくり丁寧に、いろいろな説明方法を試してみるといいでしょう。患者さんの治療への意欲を挫くことがないように、根気強く向き合ってほしいと思います。

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村尾 孝子
むらお たかこ

薬剤師、医療接遇コミュニケーション コンサルタント、健康講演・企業研修セミナー講師、株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業、埼玉大学大学院経済学部経営管理者養成コース修了、病院・薬局・教育研修会社勤務を経て現職。

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