病院への派遣は禁止?派遣薬剤師が病院で働く方法について解説します
調剤薬局とは違って、臨床の現場に直接携わる機会がある病院薬剤師。仕事の内容に興味を持っている人も多いのではないでしょうか?
ただ、派遣薬剤師は病院で働くことはできないのでは? という声も聞きます。
確かに、病院への薬剤師派遣は原則として禁止です。しかし、実は、派遣でも働くことができる例外があります。
この記事では、派遣薬剤師が病院で働く方法についてわかりやすく解説します。
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派遣薬剤師は病院で働ける?
派遣薬剤師は病院では働けない、そう思っている人もいるでしょう。
確かに、派遣薬剤師の求人を見ていると、ほとんどが調剤薬局やドラッグストアです。
これには何か理由があるのでしょうか?
派遣薬剤師が病院で働くことは法律で禁止されている
実は、労働者派遣法により、派遣薬剤師が病院で働くことは原則禁止となっています。
医療の現場では、医師や看護師、薬剤師などが協力して、患者に最適な医療を提供するという、いわゆるチーム医療が行われています。
人の生命を直接預かる医療行為においては、特にチーム内の意思疎通が何より重要視されます。
そのチーム医療に、病院外から派遣された派遣薬剤師が携わるのは適切ではない、との考えから、病院への薬剤師派遣は禁止されているのです。
このような理由により、病院の薬剤師求人は、正社員あるいはパート、アルバイトとなっています。
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実は、派遣薬剤師が病院で働く道はある
このような理由により、薬剤師の病院への派遣は禁止されています。
ただし、ある特定の条件を満たす場合は、例外として薬剤師の病院派遣が認められることになっています。
派遣薬剤師が病院で働ける条件
派遣薬剤師が病院で働ける条件には主に次の2つがあります。
- 紹介予定派遣
- 産休・育休・介護休業などの代替要員
それぞれの仕組みについて解説します。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、一定の期間、派遣として勤務したあと、派遣社員と勤務先双方の合意があれば、直接雇用に切り替えるというものです。
このように、勤務先と正式に雇用関係を結ぶことを前提としている場合は、病院への薬剤師の派遣が認められます。
紹介予定派遣として勤務することで、薬剤師はその勤務先が自分に合っているかどうかを見極めることができ、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
派遣としての勤務期間は最長6カ月までとされ、多くはだいたい3カ月の勤務の後に、直接雇用に切り替えるかどうかを決めることになります。
産休・育休などの代替
病院で雇用している職員が、産休や育休、または介護休暇などで長期の休みに入る場合、その期間中の代替要員として派遣薬剤師を雇うことは認められています。
実際、病院派遣薬剤師の求人は、多くがこの代替要員としての求人です。
ただし、この場合は、休業している正社員が復帰するまでの期間限定の勤務となることに注意が必要です。
育休ならおよそ1年間、介護休暇ならだいたい3カ月が目安になります。雇用期間が過ぎれば、派遣薬剤師は別の勤務先に移ることになります。
病院派遣薬剤師の特徴
病院薬剤師の働き方は、調剤薬局やドラッグストア勤務と比べて何か違いがあるのでしょうか。
業務内容や、勤務時間についてみていきましょう。
業務内容
病院勤務では、基本的には、調剤室での調剤業務と、外来患者への服薬指導を行います。
一般的な調剤薬局やドラッグストアで勤務する場合と大きな違いはありません。
入院病棟を備えている病院の場合は、病棟業務を行うこともあります。
入院患者への服薬指導や注射薬の調剤など、一般の調剤薬局では経験することのない業務もあります。
ほかにも、患者の状態に合わせた薬の提案や、退院に向けての服薬指導など、チーム医療の一員として医師や看護師と連携しながら働きます。
勤務時間・休日
勤務時間や休日については、病院の診療時間に合わせます。
一般的な病院なら、朝は8時半か9時開始、夕方は5時あるいは6時までと、ドラッグストアや一部の調剤薬局に比べると、退勤時間が早くなります。派遣薬剤師の場合は、基本的に残業はありません。
また、多くの病院は日曜祝日は休みなので、週末はしっかり休めます。
プライベートを重視したい人にとってはメリットが大きい働き方といえるでしょう。
ただ、代替要員として派遣された場合は、休職者と同等の働き方が求められることもあります。
勤務日数や休日の取り方に条件がつく場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
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病院派遣薬剤師に向いている人
病院派遣薬剤師は時給も高く、ほぼ定時で退社できるため、ワークライフバランスを取りやすいといえます。
一方で、仕事内容は専門性が高く、一般的な調剤薬局では経験できないような業務内容も多く含まれ、とまどうこともあるかもしれません。
では、どんな人が病院派遣薬剤師に向いているのでしょうか?
薬剤師としての経験値を上げたい人
病院での勤務はドラッグストアや調剤薬局とは違って、病棟業務や臨床医療にかかわる機_があり、専門性の高さが問われる場面が多くあります。
病院内の勉強会に参加して、最新の医療情報を学んだり、医師の知識や見解を直接聞いたりすることもできます。
臨床の現場に直接触れることのできる病院は、薬剤師としての専門知識を深め、いま以上にスキルを磨きたいと考えている人には最適の環境といえるでしょう。
医師や看護師との連携や患者との関わりを通して、仕事を円滑に進めていくためのコミュニケーション力や、臨機応変に対応する力を培うこともできます。
病院勤務は、薬剤師としての経験値を上げ、将来的なスキルアップやキャリアアップに大きく役立つのではないでしょうか。
また、病院で働いた経験のある薬剤師が、身につけてきたスキルをキープするために派遣で働くのも有効だといえます。
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病院派遣薬剤師に関するQ&A
ここからは、病院派遣薬剤師について、よくある疑問にお答えします。
Q.病院勤務が未経験でも働ける?
派遣薬剤師は、即戦力になることを求められています。そのため、病院勤務経験者のほうが優遇されやすいといえるでしょう。また、専門分野の資格を持っていると、応募できる求人の幅が広がるかもしれません。ただ、数は少ないですが、なかには病院未経験OKの求人が出ることもあります。
ブランクがある、あるいは、病院勤務の経験がない場合は、事前に研修を受ける等のスキルアップを図っておくと安心かもしれません。
Q.紹介予定派遣として働いたあと、直接雇用を断ってもよい?
紹介予定派遣のあと、直接雇用に切り替えるかどうかは、病院側と薬剤師双方の合意があってはじめて成立します。
もしも、労働条件等に納得がいかなければ、断ってもかまいません。
Q.病院派遣薬剤師の給与はどのくらい?
一般的に、派遣薬剤師の時給は、パートやアルバイトよりも高いと言われています。
働き方にもよりますが、条件次第では正社員薬剤師と同等か、それ以上の給与を得る可能性もあります。
薬キャリエージェント調べでは、病院派遣薬剤師の時給の平均は3215円、病院勤務のパート薬剤師の時給平均は2052円でした。
病院派遣薬剤師の時給は、パートの約1.6倍ということになります。
仮に、派遣の時給が3000円だったとして、フルタイムで勤務した場合の月給を計算してみましょう。
時給3000円×1日8時間×月20日=48万円
時給3000円で働いた場合、派遣薬剤師の月給は48万円です。
正社員の場合、病院勤務の薬剤師は、調剤薬局などに比べて給与が低い傾向があります。それを考えると、病院派遣薬剤師の給与は、かなり高いといえるのではないでしょうか。月給だけみると、正職員より高いケースもあります。
病院派遣の場合は、ボーナスがなかったり、期間が限られていたりしますが、それをカバーするために時給の設定は高めになっているのです。
Q.夜勤や当直はある?
病院の規模や診療内容によっては、夜勤や当直勤務がある職場もあります。
ただ、原則として派遣で働く場合は、夜勤や当直は免除されます。事前に派遣会社に自分の希望を伝えておけば確実です。
もっとも、夜勤や当直には別途手当が支給されるというメリットもあるため、こだわりがなければ、正社員と同じように、夜勤、当直勤務をすることもできます。
どのような勤務条件にしたいのか、派遣会社とよく相談して、自分はどうしたいのかをしっかりと伝えましょう。
まとめ
ここまで、病院派遣薬剤師の働き方について解説しました。
派遣薬剤師は、原則として病院で働くことはできませんが、紹介予定派遣や、産休・育休等の代替要員としてなら病院で働くことができます。仕事の内容は一般的な調剤業務も含め、病棟業務やチーム医療への参加など、専門性の高さが求められるものが多くあります。臨床の現場に直接関わることで、薬剤に関する専門知識をより一層深めることができるのではないでしょうか。
病院派遣薬剤師として働くことは、薬剤師としての経験値を上げ、今後スキルアップしていくためのきっかけとなるといえるでしょう。
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