市中肺炎6(ディフィニティブテラピー・非定型肺炎)
さて、今回は、非定型肺炎に対するディフィニティブテラピーを見ていきましょう。
まずは、マイコプラズマ肺炎からです。原因となる病原体はMycoplasma pneumoniaeであり、これは自己増殖可能な最小の微生物と分類されます。最大の特徴は、細菌なのに細胞壁を持たないということです。ということは、細胞壁合成阻害を作用機序とするペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系などの抗菌薬は全く効かないということになります。比較的若い症例が多いこと、学童などでもかなりの数認められることが特徴の1つです。昔は、4年に1回という周期で流行期がやってきており、オリンピックイヤーには注意が必要であると言われていましたが、最近はこのような周期性は崩れつつあると思います。
マイコプラズマ感染症の臨床症状としては、潜伏期間が約2~3週間で、はじめは発熱、全身倦怠感、頭痛など感冒様症状からスタートし、3~5日後からは、咳症状が出現し始め、解熱後もしつこい咳という形で残ることが多いです。